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はっきり言って子供も継がない商売でしょ、こんなの
一回やってみたいから、こういうことは
こんな顔してるけど、優しい方が好きです
彫り方っつうのは無いでしょ、彫刻だから
若いのが四人居ます
極彩色と淡彩色ってあんですよ
書き直して、イメージ浮かべて、膨らまして、それで彫る
彫刻屋としては持ってる方じゃないですか
逆に言えば楽しんでもらわなくては、困っちゃんですよ、もっと

English interview

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はっきり言って子供も継がない商売でしょ、こんなの
(宗舟(そうしゅう)という店の名前は以前から?)そうですね。(何代目?)俺で 三代目です。(ずっとここで?)すぐ近くの駒形通りの後ろに、おじいさんが若いこ ろ居たらしい。関東大震災の前ですから。(ずっと木彫り?)はい、木彫り、木彫 (もくちょう)。(どういう分野?)社寺、仏閣。分野的に、堂宮(どうみや)、仏 像、仏具っていう分野に分かれます。うちは大体やっちゃいます。そんな感じです ね。うちはデパートやらして頂いたりしてるんで、そういう点では、品物っつうか、 まあ作品は多いです。(今でも社寺を?)上(工房)へ行きゃ分かるけど、今やって るから、実際は。たまたま。(今、注文は多い?)多いですよ。社寺ってのはそんな に長い仕事じゃないけれど、 一年ぐたい前から話があって、(図面を見せながら) これなんかは区の指定になってる重要文化財で、僕達の先輩が彫ったものを、今回受 けてるのはここの部分、1メーターの大きさで飛龍を彫る、それが来年の六月まで。 (龍?)飛んでる龍、ドラゴン。あるじゃない! 飛んでるゴジラとか、あれを思い 出しても構わない。だから、それをここに四枚彫る。ここにある写真が、石川さんて いって僕の大先輩ですよね、もうね、半端じゃなく。明治八年だから、これ出来た の。その人が作っている彫刻。だから、そういうのをたまたま縁があって、うちに流 れて来てるっていう話なんです。(その写真は山車?)山車です。(そういう彫刻を する人は何人ぐらい居る?)何人かっていったら何百人。東京だけだって百軒ぐらい あるんだよ。(そんなに居る?)居るよ。ただうちみたいに、はっきり言って子供も 継がない商売でしょ、こんなの。食えねえもん、だって。今、ゼネコン入っちゃって どうのこうの。だから、現実的にはもう減りつつありますね。

一回やってみたいから、こういうことは
今度1メーター80、2メーター50の額二枚、を受けてます。それが来年、再来年 の話。(やっぱり仏教的な柄?)仏教的な柄ですよ。大きさだって2メーター、でっ かいです。半端じゃないですよ。法華経の。だから、そういうのは何個かある。今の やつの、図面がこれ。これを彫るわけ。(絵を彫る?)板だって何百万だから、 四、五百だから。(図案は?)これは、富山の方の、お寺の重要文化財、国の。だか ら版権があって写さしてくれない。(似たものを作る?)だけど、こんなの毎日やん ない。僕も生まれて始めて、こんだけやるの。だからもうお金じゃない。一回やって みたいから、こういうことは。もう一生に一回で、何百年と残るから。だから額、輪 島で塗ったって、2メーターいくつで、このくらいの幅で塗るだけっだって、一台二 百万ぐらいします。(元は絵?)絵です。(立体化して彫る?)そう。だけど僕もま だ、頭の中ではそうだそうだって言ってても・・・。(立体的な物を作るには想像力 が要る?)そうですね。(下絵を立体にする図面は親方が描く?)もちろんです。

こんな顔してるけど、優しい方が好きです
だから、儲かる商売じゃないもの、絶対に。うちの馬鹿息子にやるなって言って、ほか出してるけど。(お継ぎになる?)お継ぎになりません。勝手にやってもらうだけ です。この商売はもう、みんな自分で、好きでなきゃできないし、個性出ますから。 同じもんやったって顔が違うし。その人の優しさとか個性とか、不動とかの荒物が得 意な人も居れば、わあすごいって人も居れば、ほのぼのとしたものが得意な人も居 る。いま写真で見ている柴又のは、来た人がなんとなく「わあいいなあ!」っつう感 じで。御住職の意図っつうのは、ここでお釈迦様が説法して「こういう風になっちゃ うと、こういう地獄に行っちゃいますよ、だからこういう風にするんですよ」って言 うこと、説法ですから。そうすると「ああ、そうなんですか」って納得する。そん な、インパクトじゃなくてほのぼのとした優しさとか、そういったものです。(親方 はどういうのが得意?)わたし自体はどっちかって言ったら、こんな顔してるけど、 優しい方が好きです。仏像でも、能面みたいでしょ? みんな。ああいうのより、も っとこうほのぼのとしたとか、荒っぽい方がやりたいです。

彫り方っつうのは無いでしょ、彫刻だから
(彫り方は伝統的に決まってる?)彫り方っつうのは無いでしょ、彫刻だから。手は こういう風に彫るんですとかって、基本的にはこうパーツ的には有るけど、流派によ っては有るって話ですけど、基本的には無いはずです。ただ、龍の顔が品がいいねと か、品が悪いねとかって、格好悪いねっていう問題で、見た人の取り方でしょ? そんだけの話。

若いのが四人居ます
あの弟子は、自分で来てる。指物屋さんや箪笥屋さんに、そっちの方が食えるからっ て連れていったんですから、僕が、親父といっしょに。そっちでもし、やるんだった らやんなさいつって。だけどやだって言ったんですから、本人が。僕の友達の息子な んですよ。学校の時の、美術の。で、どうしてもっていうんで、中学出てもう、高校 行かないで来ちゃったんだから。だから困ってるっつうより、責任ありますよ、だか ら。どうにかしてプロにしてあげないと。とりあえず道具を貸して。僕たちの出来ん のってのは、いい悪いで彫りを教えるんじゃなくて、道具を自由に動かせるまでなん ですよ。あと物の見方。それはもう自分でやっていくよりしょうがないないんです よ。(お宅の息子さんは?)わかんないです。ただきついから、親心として、やめた 方が良いんじゃないって言った。(職人は後継者が無い?)そういう今、時点じゃな いでしょ、悪い言い方すれば。うちはおかげさんで若いのが四人居ますからね。 だ れか継ぎゃいい。彫刻として。だから昔は、うちの父親たちがやった時代っつうの は、独立して親方から仕事もらってって感じでやってたでしょ? 今は違う、と僕は 思うんですよ。ここで宗舟って看板掲げてるから仕事が来るんで、うちの若いのが継 いでも、ここでやってた方が得じゃないかな、生活面では。だから私は ある時、独 りで引退して行きたい。(宗舟のブランドを残す?)そう。それで、彫刻って面白い んですよ。最終的には自分の好きなもんつうのは、もう十年、二十年やりたいのって のがあるわけですよ。それで個展でも開いて、食べていくにはいいんじゃないかな?  っていつでも思ってるわけです、いつでも、夢的にはね。

極彩色と淡彩色ってあんですよ
(仏像のうしろのは?)火炎ですね。(仏像は色を塗らない?)いや、そうではない ですよ。今写したやつは、淡彩式っつって、極彩色と淡彩色ってあんですよ。極彩色 っつうのは胡粉(ごふん)を塗っちゃうんです、最初に真っ白く。 それでその上に 色をかけてく。淡彩色っつうのは木に、一番いいのは岩絵具で、薄くとか、濃く塗っ てく。(岩絵具?)ええ、顔料、染料じゃなくてね。(じゃあこれも塗ってある?) ええ、彩色してあります。だから、これが極彩色。完全に生地を見えなくしちゃっ て、胡粉を塗ってから彩色してある。で、こっちが淡彩色。生地を見して、部分的と か全体的にでも。(塗らない場合もある?)そこのは塗って無いです、生地の色です。

書き直して、イメージ浮かべて、膨らまして、それで彫る
(いくつから仕事を始めた?)高校出てからです。(すぐ木彫を?)いや私がこの仕事に入ったのは二十五からです、それまでは美術を。いや彫ってましたよ、木彫は、 もちろん。ただ仕事としては、二十五から。(仏像を彫るための資料がある?)ああ、仏像っつうのはほとんど信仰物としての対象なものがありますから、それをどう デフォルメしていくか。自分なりに落としていくか。(決まりごとは無い?)決まり ごとはあります。どんなにデフォルメしても、お不動さんだったら剣(つるぎ)持ってなくちゃいけない。あと分銅持ってなくちゃいけない。それから眼が天地にらんで なくちゃいけないとか、そういう決まりごとはあります。阿弥陀さんとお釈迦様が、 顔が同じでも印が違うようにっていう決まりごとはあります。だから、あそこに恵比須様ありますよね。江戸の双六かなんかであったんですよ。それで鯛が顔の下にある っつうのを見て、ああ面白いなあと・・・。もっとラフで書いてあんですよ、それを 自分で、ちゃんとって言っちゃおかしいですけど、書き直して、イメージ浮かべて、 膨らまして、それで彫る。(売るために?)もちろん、だって商売ですから。(喜ばれる?)うちの品物とか作品っていうのはごく限られた人ですよね。一般の人にはま だ知られてないですよね。だから、一般の家庭の人でも、俵町なら大黒様でも中国製 やなんかで一万円で買えて、なんでここで十万も二十万もするの? って話ってあり ますよね? そういう人たちはそういう人たちで、楽しんでますからね、別に悪いこ とは無いど。ただうちのお客さんってのは、やはり宗舟で顔がいいとか、木でも、あ あいい欅(けやき)使ってるとか、いい檜(ひのき)使ってるとか、白檀でもすごい ちゃんとした、御香にできる白檀使ってるっていう感覚で。この仏像は白檀で、もう 二十年ぐらい前に切り出した木で、二十年ぐらい経ってる、うちの親父の時にだか ら。戸開けて!開けて香りかいで!ばあっと出てきます。(すごい匂い!)それ だけでも結構するでしょ? そういう風に白檀ってのは香り抜けないし、それが中国製だとか台湾製の白檀で、白檀には変わりないんですけど、安もんっつって良いのか な、それを使っちゃうと、もう・・・。だからもう何年経ってもこういう風に、要は 焼けない限り。ただ上にお線香とかそういうのでコーティングしない限りは、この香 りっつうのは、残っています。

彫刻屋としては持ってる方じゃないですか
(使う木は何種類?)檜(ひのき)、樟(くす)、白檀(びゃくだん)、それから桂 (かつら)、朴(ほお)。ちょっと洋家具っぽいのは黄蘗。その程度は用意してある。(材料はかなり持ってる?)彫刻屋としては持ってる方じゃないですか。(観音 様はほとんど白檀?)そう、白檀、柘植(つげ)。

逆に言えば楽しんでもらわなくては、困っちゃんですよ、もっと
うちって結構、嫌な言い方すれば、抹香臭いでしょ? どうしても寄りがたいでし ょ? なかなか。だから、逆に言えば楽しんでもらわなくては、困っちゃんですよ、 もっと。やはり、人間って、まだうちの若いの(弟子)の時代だと、べつに仏壇とか 死とかっていうの関係ないでしょ? 手を合わせるとか、ほのぼのしたのとかってい うよりは、もうゲームセンター行ってどうのこうのっていう歳だろうし、まだサーフ ィンだなんだって・・・。だけど年取ってくると、やはりね。


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