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そうです、日本で一人です
少し書いて、少し薄くなったら、チョット回す
太くて短いのが一般に好まれるんです
その絵描きさんには特注で
神経科の方の医療で使う
二本買って、自分が使うのと、飾って置くのと
昔はセルで出来てたんですけど、今は許可になんない
もうこの色は出来ないです、今の人の技術じゃね
これは天然ですから、太さはだいたい決まってる
もう少しなんて考えてる余裕が無いんですよね
昔上げたやつは全然駄目

English interview

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そうです、日本で一人です
(作っている種類は?)基本的な材料は、この透明のと、この茶色の二種類しかない んですよね。それに対してこんどは、先が白いのとか、この小豆色とか、この茶です ね。あとは、持つとこが細くなれば、グリーンの色もあるんですが、基本的には二種 類なんですよね。で、こういう白いやつ、一体化(=軸とペン先が同じ材料)はでき ないんですよね。火入れたらクチャクチャになっちゃうんです、柔らかすぎて。こう ねじっていかれなくなっちゃうんですよね。(呼び名が違う?)ええ、これ(軸)と こっちの頭(ペン先)が違うものをコンビって一応言ってるんですよね。普通、同じ やつは一体化って言うんですが、これ(コンビ)はノーマル(昔からの形)なんです よね。今はオリジナルって言ってね、こういうやつ(親方が考案した形)になってん ですよ。いくら太くても軽いんですよね。あと、こういう竹軸はもう九十年ぐらいに なります。それとセル軸の頭だけネジ(ペン先がねじ込み方式)のあれと、昔はほと んどそれだけだったんですよ。オリジナルが一般に出回ったのは平成八年です。で も、これは文房具屋さん扱わないですよ。全部ガラスで危ないからって、折れちゃう から。いろいろな雑誌に出たんです。(売れる?)今は間に合わないですね、だって 一人だから。(一人?)そうです、日本で一人です。うちだって二十四人ぐらい居た んです、全盛の時はね。この辺に、東京の台東、墨田がいちばん多かったんですよ。 一カ所に固まっちゃった。それでもう百人以上居たですからね。

少し書いて、少し薄くなったら、チョット回す
(ペン先の形も色々ある?)もう、自分でやってっから、おんなじやつは絶対できな いです。(自分で作る?)そうです。おんなじって二本は無いですね、みんな違うん ですよね。瞬間的に溶かして、こうねじってくから。だから、おんなじの作ってくだ さいって言っても出来ないですよ。先までね、八個の溝があるんですよ、ガラスの。 そこからインクが流れるから。ここまで八個の溝が入ってないとインクが出てこな い、この先の細い所から。(細い先に八箇の溝!)入ってないとインクが出てこない です。だから、こう、鉛筆と同じように回しながら書くんですよね、八個溝があるか ら。一番初めに少し書いて、少し薄くなったら、チョット回すんですよね。今度は隣 の溝から出るでしょ? でまたやる。ここ(ペン先)の長さによってインクの吸い上 げが違いますよね。(他のより長い?)いや、まだこれ仕上がってないです。これか ら切るんです、ここを。それで切って、紙やすりで仕上げする。切っただけでも書け ますけど、お客さんによって太いのが良いって言えば太く切って。

太くて短いのが一般に好まれるんです
(寸法は買う人にとって関係ある?)ぜんぜん持ち方が違います、軸の太さが。この 頃は型も、昔と違ってデザインでいろんなの作ってますからね。今、太くて短いのが 一般に好まれるんですよね。やっぱり持つのに太さってあるんですね。女のかたは最 低でも8.5ミリ、男は9ミリから。すべてのペンは8から11ミリの範囲内の太さです。 (長さは?)だいたい基準として17.5センチです。

その絵描きさんには特注で
(どういう人がこれを使ってる?)今、若いかたが多いですよ、絵書いたりなんか。 今、うちのは千葉の絵描きさんが使ってんです。絵描きさんがやっぱり田舎だから公 民館で教えてんです。で、生徒さんが結構いる。これで、お弟子さんが賞取ったんだ って、それで直接って、先生と一緒に来たんですよね。そうしたら、切っただけの方 がいいんですって、絵書くのに。少しシャリシャリしてね、そうすると細く書けた り、角度によって太さが違うから、仕上げないほうがいいって。それで、切りっぱな しで持ってったんですけどね。この太くて重いやつね。細いやつで軽いやつは駄目な んです。だからその絵描きさんには特注でね、こんなやつで。熱くてね、手が火脹れ になっちゃうんです、作ってると。

神経科の方の医療で使う
(玉付きのは?)医療で使うんです。神経科の方の医療で使うんですよね。薬品をこ っから吸いあげるんです。それでね、人間のツボありますね、ツボへくっつけてっ て。すごくいい匂いがするんですよね。これは病気によってみんな違うんです。それ が今度出るみたいでね、この間アメリカへ六十本ぐらい見本で持っていったんですけ どね。(玉の色は?)それは向こうに合わせるんですよ。この色は何の薬に使う、こ れは何の薬に使う、それで、決めてあんですよね。(撮影は?)それ、一般に公開し ないでって言うんですよね、真似されるといけないから。

二本買って、自分が使うのと、飾って置くのと
(オリジナルとノーマルの違いは?)(おかみ)デザインが違うんです。ノーマルの ものっていうのはストレートで、何もないもの。オリジナルっていうのは(新しい) デザインなんですね。それで、コンビなものと、ぜんぶ同じ一体化で出来てるものと あるんですね。(ガラスペンの書き味は?)方向性がないことです。(今でいうボー ルペン?)そうですね。(オリジナルは握りのうしろ側が軽い?)そうなんです。そ れが特徴なんです。まだ二年ぐらいしか経ってないんです、これが出来たのは。今ま ではみんなノーマルですから、重くなっちゃってね。重い、重いって言うんですよ ね。11ミリから11.5ミリの太さだったら、男のかたと、手の大きいかたも使いやすい です。だいたい重くないんですよ、全部ノーマルだったら重くて駄目です。それと力 入れるかたはいいですよ。(親方)万年筆とおんなじで、初めは自分の角度がありま してね、慣れてくるとその角度が決まるから。それで全体に減ってきますよね、書き やすくなる。だから、やっぱり人には貸せないですね。(使えば減る?)多少は減り ますね。だけど昔とは紙の質とインクが違ったですよね、で今はそんなに減らない。 その前に、インク付ける時の、インク壷の縁(ふち)が特殊で、固くなってますん で、あそこでぶつけちゃうのが多いんですよ。真っ直ぐ入れて、真っ直ぐ上げてもら えばスーっと上がりますから。入れ過ぎ、付け過ぎずに、三分の一ぐらい付けるとち ょうどいいんですよね、ボタ落ちはしません。そのかわり付け過ぎると、こんどは字 が太く、大きくなってくるんですよ。それを初め、みなさんに言うんですよね。で、 終わったあとは水に入れれば、(インクは)すぐ落ちちゃうんです、水で流せば一番 いいんです。それで、もしも忘れて固まった場合、ぬるま湯でちょっと洗う。もし落 ちなかったら、万年筆と同じで、布で(拭けば)落ちちゃいます。手入れは一番簡単 です。今はインクばっかりじゃないんですよ。画のかたは自分で墨を擦って、自分の 濃さで書く人が多いんです。これは何でも使えますからね、墨汁でも何でも。だから 結構インクも・・・海外だったら何十種類だろうな・・・三十か四十ぐらい来てるん じゃないですか? いま駅ビルの店には、こんな小さい瓶ですけどね、五十種類から 六十種類。そのインクが出来たお蔭でうちも、結構ね。(笑)前は日本に万年筆の会 社、八種類ぐらいあったでしょ? 一時は全部製造しなくなった。だから、うちと同 じで、付けペンの会社もほとんど無くなったんですね。で、ここんとこへきて、Gペ ンの会社が、それもすごい会社でね、先が昔みたいじゃないんですよ。何十種類って あるんですよ。そういうのもインクのお蔭じゃないですかね。昔は帳簿とか、特殊な 製図屋さんだけしか使ってないですけど、今は二本買って、自分が使うのと、飾って 置くのとか、いろいろあるんですよね。初めは自分の持った太さだけど、だんだん飾 っておくのは太いのがいいとか、色の変わったのがいいとか、コンビがいいとか言っ て。(軸でインクの色をかえたり?)そういう人も居ますよ。(でも売れてる?)う ち一軒のお蔭と思うんですけど、やっぱり機械化できないので、手で作るんで数が ね。これはもう一本、一本作るからね。(どこで売ってる?)全国の東急ハンズさ ん、伊東屋さんです。あとは専門の小さいお店があるんですよね。荻窪と、それから 杉並で始めた人が居るんです。(一人だと売れて嬉しいような、困るような?)ぜん ぜん(うれしくない)! 納期があるからね、だから困っちゃう。最低でも二週間っ て、一応は規約にうたったんですけどね。やっぱりお客さんが欲しいって言うと、一 日も早くってなっちゃう。だから今、三ヵ月以上遅れてる。(沢山作ってあって も?)だって、お客さんの寸法によって全然違うから、これだってみんな太さが違い ますよ。だから、いかなくなっちゃうんですよね。

昔はセルで出来てたんですけど、今は許可になんない
(Gペン付きっていう品物は?)トタンで出来たペン先あるでしょ? 先割れで。あ れが軸の裏っかわ、ここんとこへ付く。で、ガラスと両方使えるようになる。天替 (てんがえ)式って言うんです。これは軸がラクト、万年筆の材料を使ってるんで す。こっちは普通の、昔はセルで出来てたんですけど、今は許可になんないでしょ?  消防法で、火を呼ぶんで。それに似たやつがこれ、安物なんですよ、混ざりで。

もうこの色は出来ないです、今の人の技術じゃね
(茶と透明で材料費が違う?)材料は目方で買えますんで。(値段は同じ?)そう、 キロ単位で買うんですよね。そん中で細いやつは笹型に使ったり、太いとこは蕪(か ぶ)型に使ったり、するんですよ。蕪っていうのは膨らんでるやつ。野菜に蕪ってあ るでしょ? それだから蕪って言うんですね。昔の人は簡単ですよ、考えが。(笑) 昔は六種類ぐらいあったんですけど、色がね。今は職人さんがもう目一杯です。この 色と、これ作んのがね。これも出来なかったんだけど、三ヵ月間、昔のやつ分析して たんです、電子顕微鏡かなんかで。だけどやっぱり同じ色じゃないですよね。同じの はもう出来ないって言ってましたね。もうこの色は出来ないです、今の人の技術じゃね。

これは天然ですから、太さはだいたい決まってる
( 竹軸の太さは同じ?)これは天然ですから、太さはだいたい決まってる。多少は違 いますけどね。値段は関係ないです。天然ですからね、曲がったのもあるしね。先が 細いのと、中が太くと、先が太くと、書く字の太さによって三本セットになってる。

もう少しなんて考えてる余裕が無いんですよね
(それは作業用の手袋?)そう、これが無いと火脹れんなっちゃうですね。これ革な んですが、とても厚い。(何年仕事を?)四十三年ぐらいかな。(ガラス割れる音) 危ないからスリッパ履いたほうがいいですよ。(わたしは)足がよけるんですよ。瞬 間的に足がよけるんですよね。(作業しながら)インクの溝が八個あるんですよ。右 手でスーって引いた瞬間が問題なの。この先までズーっと細い溝が入ってないと、イ ンクがつかえちゃう。だから先が入ると思ったら手が回らないと、駄目んなっちゃう んですよね。少しでも遅くなると、今度は火で溶けちゃうんです、溝が。で、書いて みてすぐ分かるんですね、一か所でインクが落ちてこないから。瞬間的にやんないと もう駄目ですね。もう少しなんて考えてる余裕が無いんですよね。手でズーっといっ ちゃわないと。(もう出来ちゃった!)出来ちゃった。昔、うちで一番早かったの は、一分間に十三本作ったですよね。(早い!)早いですよね、あっという間に。ガ ラスを見てて、ちょっとでもあれすれば、スっとやらないともう、焼き過ぎたら駄目 ですからね。焼き過ぎても駄目、焼き足らなくても駄目なんですよね。もし焼き足ら ないと、片っぽうだけになるんです、溝の山が。引いてスーっと(伸びるように)、 良く焼いてないと、芯まで焼いてないと、上がって来ないんですよ。初めから一人で 作るには、これが難しいですね。三ヵ月ぐらいおんなじことバンバン、バンバンやっ ても、なかなか出て来ないですからね。簡単なようでも、これはなかなか出来ないで すね。でも、今は材料が大変ですよね。三ヵ月だと二十キロぐらい使っちゃうから ね。今はそんなことやったら大変ですからね、もったいないからね。だから、修業さ せてくれっていう人居るんですけど、断ってるんです、うちは。(後継者は娘さ ん?)そう、でもなかなか忙しくて出来ないんですね。

昔上げたやつは全然駄目 最初に作った製品なんてぜんぜん見られたもんじゃないですね。
もう自分勝手に やってったから、見当がつかないですよね。あるお客さんに頼まれて作って、それか ら一年ぐらい経ってまた頼まれて、送ったんですよ。そしたら「ああ、ずいぶん腕が 上がったなあ」って。又この前来たらね、「また良くなったね」って。(笑)だから 昔上げたやつは全然駄目なんです。今見ると全然駄目です。この山が全然違っちゃう んですよね。やってて押した瞬間に、引くんですよ、押し過ぎた場合は。すぐ引かな いと駄目ですからね。そうしてやってかないと、うまくズーっと平らにいかないんで すよね。で、昔は押したままでしょ? だからデコボコ、デコボコになってくる、そ れが分かんないんですよ。呼吸ひとつに合わせてね、押したり引いたりする。で、ね じり過ぎてもまた駄目。(教えられるものじゃない?)ああ、手でやる職人は絶対教 えてもらはないですよ。見てて、呼吸を合わせてやる。(人ごとにスタイルがあ る?)そうですよ。うちで何人も居ても、形(かた)を見ると、あの人が作った形っ てすぐ分かる。その人の癖が出ちゃいますからね。何十年やってると、形が決まっち ゃいますから。(作るペースは?)このくらいの太さだったら、一日十本、十五本ぐ らいですね。(長い時間で大変?)だから初めは、腰は痛くなる、手は痛くなるし ね、手はものすごく熱いですからね。


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