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![]() ●いろんなカラクリあるんですよね 船箪笥ですよ。欅の総ムクで、合板じゃない。(これから金具を取り付ける?)ええ。(欅の総ムクはすごい?)ええ、上代で三百二十万ぐらい。(船に置く箪笥?)北前船が使ってた金庫です。この引出しが開かないんですよ。これ戸のすき間より大きいんですよ。で、この戸を外さないと出て来ない。でも、戸が外れないんですよ、えへへへ。いろんなカラクリあるんですよね。この戸を全部こちらへ持ってこないと開かないんです。(だから金庫!)ええ二重、三重になってんです。僕は初めて作ってね、まあだいたいこんなもんで出来るだろうって見積もったら、全然。倍以上、手間かかります。(仕組みは知られてる?)そうですね、分かってます。鍵も注文で作るんですが、出来上がるまで一年です。釘も一本、一本ぜんぶ手作りですよ。で、昔の技法で色付けですから。今で言うとメッキ。(ほかにも船箪笥作る人は?)福井と山形にいますね。そんなに量はできないですね。 ●玉になってる木(目) これがその長火鉢です。一月四日のテレビですか、取材があり、五本注文ありましてね、百六十万。で、五本来たうちの一本がね、すごいの、これ全体玉木(たまもく=玉の木目)なんです、欅の。それで買った木なんです。板にすれば百万するんですよ。それで注文でこれから九月頃までに作るんです。これ一本、まあ原木で一億です。(すごい!)原価ですよ。(笑)(これは木目で選んで買って来る?)そうなんです、お客さんが指定でね、こういう玉木が欲しいって。玉になってる木(目)ね、これ。貴重なんです、なかなかないんですよね、今。(これは木を切ってみないと分からない?)分からない、うん、でも大体、木はね、木の皮肌とか、状態見ると分かります、正確に。まあ、一般にこういう風にポツポツと出てんですけどね。出ていても、こういう玉になるんですけど。(外側に?)ええ、こういう出ているとこよりね、木の皮がね、弾(はじ)いているんですよ、ポンポンと。むしるとね、ちょうど人間の指紋のように、こう渦巻いてんです。で、それが玉になってズーッと奥まで入ってんです。(これで樹齢はどのくらい?)ちょっと分かんないですねえ。まあ、原木は見てないんだけど、まあ、これ一枚だけ分けてもらったんです。その木が、原木が一億です。(これが十枚くらい取れる?)十枚よりもっと、もっと幅広い、こんな木ですから。その内の、皮の方をちょっと一枚だけね。(どこで取れた木?)ちょっと、これは訊いてないんだけど、場所は。(でも国産?)ええ。(まだこんな木もある?)ええ。(ここは色が違う?)これ、ちょっと割れどめを塗ったんですよ、ええ。急に乾燥さすとね、ピーっと割れちゃうんですよ。(そういう薬がある?)いえ、薬じゃなくてボンドですよ。(ボンド?)ええ。ボンドでちょっと上に膜張るんですよね。急激にこう乾燥させるとね、すぐ割れちゃうんですね。(それで削る?)ええ、削っちゃいます。削ると、もうきれいにね、なるんですけど。 ●ほとんど山から買ってきた (家具専門の材木屋がある?)専門て言うと、和家具の方ですと、都内ですと、一軒か、ぐらいですよね。(ほとんどの指物屋がそこで買う?)そう大体そこが多いですね。あと、銘木屋さん、お願いして、原木市場とか。わたしの場合は全部ほとんど山から買ってきた、原木買いです、直接。それが下に有る木が全部です。一番多かったのは、昭和三十八年から、四十年、五十年の初めくらいまで。そう、二ヶ月にいっぺんくらい山形、秋田、青森とか、そういうルートがちょっと有ったもんだから、競争で行って、そこで原木買って、製材して、こちらへ持って来て。(製材所と取り引きする?)いえ、製材所じゃなくて、要するにそういうブローカー、原木のブローカーですよ。まあ、簡単に言っちゃうと山師ですね。(笑)(山師!)一本勝負の山師です。(笑)(山へ入って木を見てる?)ええ、いろんなね、木の関連の情報、どこの木がどういう木で、入札がいつとか、そういう情報を集めてんです。そっから情報貰って、原木の場合たまには入札にも行ってるし、入札で落とした物をまた買う場合もあるし。そこで買って、今度は製材工場へ行って、自分とこの寸法で製材して、大きいものですと手引きで、こう。(原木で見て切り方の注文を?)そうです。木の年輪のね、動き。その動きと、縦横の凹凸、それを見ながら、こういう木は大体どんな木目がとれるなあ、それを見ながら。(やっぱり北の方が、木は良い?)そうですね、絶対北の方がいいんじゃないですか。だいたい欅なんかだと、山形、秋田、青森、福島ですか、東北の方が多いですね。樹齢、そうですね、欅なんか五、六百年から一千年くらいですとか、杉でも、大体四、五百年ぐらいですか。そんな木が多いですね。あと栗なんかは、少なくとも百五十年以上のものを使います。 ●中学終わるとすぐ ![]() (二代目?)ええ。おやじが平成五年の九十三で亡くなったけど、九十ぐらいまでやってたんですよ、現役で。でもね、もう九十になると、全然売り物にはなんないです。運動、運動程度ですよ。形なんかは全然だめですね、仕事とかね、力なくなっちゃうから。でも、何となく、そうですね、味がありますね。(笑)どことなく、こう、味、味ですね。削りでも、力無いでしょ? きれいに削ることができないし。(晩年に作った品物は残ってる?)商品ってのはもう全部売っちゃうからねえ。(笑)ここに残ってんのっつうと、なんかな、この小さいのかな、こんなもんだね。八十四、五歳のおやじが作ったもんかな、硯(すずり)箱。(塗りもおやじさん?)そうです。仕上げも全部、漆も全部うちでやってんです。(ずっと川口?)ずーっと前は、上野でやってたんです。で、おやじが、そう昭和六十三年までかな、上野でやってて。僕が五十四年からこちらで、本格的にね。(独立という形で別れた?)ええ。材木置き場の関係でね。都内ですと、狭いでしょ? みんな。もう二十坪足らずのうちですから。で、もう路地含めてもそんなに材料置けなくて。それで、昭和三十八年ですか、こちらに材木置き場。どうしても、原木買うからね、材料の乾燥が、どうしても。(屋号は?)大渕木芸です。(もくげい?)ええ。(大渕さんは何歳から始めた?)僕はねえ、何歳だ? うーんと、中学終わるとすぐですから。(見てて良いなって思って?)いえ、その当時はやっぱり長男っつーのは大体、うちの跡継ぐのが、まあ、自然にそのまま。ただ、好きでないとね、この仕事はちょっと(収入が)少ないしね。(やっぱり最初から好きで?)好きだったんだね、あははは、好きだったんだ。ちょうど、おやじが、僕が中学終わる頃、おやじがちょうど五十五歳かな、昭和三十年頃、日本の男性の平均寿命が五十五歳で、何年ぐらいおやじと仕事できっかななんて、そう思いながら、もう夢中でした。(笑)そしたら、お陰さんでおやじが長生きしたんだよね。(じゃあ四十年ぐらい?)そう一緒に。(おやじさんが教えてくれた?)んーと、そういうことしないね。見て覚える。見て覚えて、自分で実際やってみて、それで、経験だね。うちのおやじってのは、そんなに教えるってしないから。ほとんど見てるんですよね。( 厳しい先生?)全然、厳しくない。任せっきりですよ、ほとんど。何にも言わないです。仕事もそうだし、材木の仕入れで失敗しても、全然、何とも言わないです。結構、材木の仕入れってのは失敗が多いんですよ。中が全然分かんないでしょう? 特に立ち木の場合。(買っても全然使い物にならない?)なんない場合もあります、ええ。でも、全然何とも言わないです。僕がね初めてね、材木買いに行ったのはね、原木買いに山行ったのは、高校終わってすぐです。昭和三十四年か。人の紹介で、山形の鶴岡行ったんですよ。で、ちょうど、神社の木かな。杉の直径1メーターから1メーター20ぐらいの木を。そうね、持ってけって言うんですよ。自分の、長さはどうでもいいから、好きなように切って持ってけって。それで原木買って、初めてですね。(そのときは成功?)まあ、成功でした。(笑)成功のほかに、また、ね、すごいお土産までもらってね。クリのね、直径がどれくらいだったかね、四畳半くらいだったですかな、クリの木が。で、肉が四十五センチ、一尺五寸ぐらいあって、で、それを九十センチくらい幅に割ってあるんです。ほとんど真っ平らなんですよ。それをね、「貨車一車頼んだら少し空くんで、運賃もったないから、それ持って行かないか」って言うんで。また、それが素晴らしい木で、そういう木を買ったのが初めて。(作る楽しさと買うおもしろさ?)やっぱし指物っつうのは、やっぱし木の木目がね、命なんですよね。だから、もう本当に、木のいいもの使わないと。それと、あと、伝統的な技法使って、隠し蟻ほぞとかね、代表的な技法の一つ、そういうの使って、作る家具ですか、それが指物。(釘は使わない?)ええ。技法もいろいろあんですよね。 ●面白い世界ですよ (材料が無くなる?)ええ。(今日買いに行っても無いことがある?)うーん、少ないですね、良いものはね。本当にもう、若い木はだめなんですよね、やっぱり、樹齢も何百年とか経った、そういう木でないとね。木が出来てんですよ。だから木目無くても風格があんですね。仕事もやりいいしね。だから、全然もう、仕上がりの味が違うんです。(ブローカーから電話がかかる?)ああ、そうです。こういうね材料が、今どこで入札があるとかね、そういうのとか、こういうものが買ってあるから来ないかとか。で、ブローカーだから自分で買わないで、よそが買ったやつをね、それをこっちに知らせて来たりね。それでマージン払って、そういうことを、ま、いろんな方法で。あと入札なんか行って、参加して。入札は難しいですね。大体、ほとんど地元の業者の指名入札があって、それから今度、こっちの方の、バックにまたいろんな業者がいて、それをあと、再入札ですか、ええ。(切った張ったがある?)えへへへへ、いろいろと、談合もあるし、えへへへ、面白い世界ですよ。(山っ気がある?)だから山師って言う。山師ってのは、そういうところから来たんじゃないですかね。木を切りだしてきて。(中は分からず、良いものだと言って売っちゃう?)ま、そういうのもあるしね。 ![]() ●お客さんが、この色が気に入ったんです (こういう高級家具が時代で売れない?)まあ、そうですね。やっぱ生活様式が、どんどん変わってますから、ええ。だから僕なんかもよく、住宅展示場ね、見に行くんですよ。で、どういうところで、どういうものが使えるかね。昔でしたら、どんな家庭でも、みんなどこ置いても使えたんだけど、いま、ほとんど洋風だから。展示場行っても、和室が一間あればいいほうですからね。だから僕なんかこの飾り棚をね、玄関ホールの壁面にちょっと置いてもらったり、そうすると、割と合うんですよね、和の方がね。(そういう提案は面白い!)そういう所に置いてね、使ってもらったり。(高級マンションに住んでる客も?)うーんと、そうですね。ま、マンション、一戸建て、いろいろですけどね。あと、ごく普通の家庭で、ほんとに指物が好きだからと。今そういう注文もらってんだけど、木で作んだけど、どんな家(うち)かまだ分かってない。一応、そういうの欲しいっつんでね、僕も思い切って、まあ息子も今度は、あと継ぐって言うんでね、じゃあいいや、こういう木もなかなかないから、買っとこうってんでね、買って。それで、手に入ったからって連絡したら、すぐ来てくれて、じゃ、欲しいなって。それで、三百万です、その長火鉢が。(三百万!)ええ。(長火鉢を置く家も少ない?)少ないですね。ほんとの、好きな方ですね、だからね。今年、テレビで見たお客さんが五件ですか? 予算があって、「上代が百六十五万だけど、もう少し、半値くらいになんないか?」 ま、そういう場合は、材料をね。仕事は全部同じです。(材料はどう変る?)同じ欅ですと、ほんとの板目。板目って言うと筍(たけのこ)の目なんです、あっさりした、そういう材料に。で、お客さんが、この色が気に入ったんですよ。でも、よその材料使ってもいいって言うんですけどね、よその材料じゃこの色の感じ出ないから、ま、欅の板目でね。その木(もく)によって随分値段が違う。玉木(たまもく)が板で百万でしたら、板目で十万ぐらい。 ●じゃあこの材料で作ってほしい (注文はどんな風に?)うちの場合はね、材料段階から見てもらって、選んで、それで、じゃあこの材料でこういうもんを作って欲しいと、そういうこともやってんですよ。(それは面白い!)ええ。お客さんがどういうもん欲しいか、茶箪笥が欲しいとか、飾り棚が欲しいとか、机が欲しいと。大体そんな材料、何種類か出して、それを見てもらってね、で、お客さんが「じゃあこの材料で作ってほしい」。いろいろ木目違いますから。この木目が僕は好きだから、こういうの作ってくれとか。逆にね、こういう玉木だけは気持ち悪いって言うお客さんも居ますから。で、こういうあっさりした板目が良いと。(手の込んだものが高い? 材料の高いものが高い?)そうですね、材料ですよ。手間ってったらね、いくら簡単でも、ある程度かかりますから。まあ、こういう箱にはこういった木を使って、で、飾りをこんな風にやってとか、面の取り方もいろいろある、それで大体、どのくらいの日にちで手間がかかるとか、で計算していきますから、大体出ますけど。(原則として注文?)うーんと、まあ、そうですね。大体、今、半々ですね。 ●ショールームとギャラリー作って 息子も始めたばっかりだからまだ全然、何も出来ない、えへへ。この三月からちょっとね、やったばかり。それで今、カンナの刃物研ぎとかね、板削りとか。板削んのも今、全部手削りでね、練習。(何歳?)二十八、ちょっと遅いんだけどね。(笑)ちょっと遅いんだけど、まあ、本人の努力次第でね。去年まで、勤めてたんですよ、サラリーマンやってて。(サラリーマンはいいこと無い!)いや、そっちの方が良いんじゃないかなんて思ってたけど、うふふ。おやじの仕事がやりたいんだって言うから、困ったなあっと思って、うふふ。内心嬉しい半面、困ったなあって。(息子には継がせないって言う職人が多い?)そうですね。(食べていけないから?)とても厳しいですよね。でも、やり方一つですよね。やり方、ですよね。(どういう風にやればいい?)まあ、うちだってほとんど今までは業者が大体七割ぐらい。(業者は問屋?)問屋さんとか小売屋さんね。。問屋さん、ほとんどもう、つぶれちゃったり、廃業したり。まあ、今じゃ専門でやってるとこはほとんどないですよ。二、三軒あるかな。それで今回、ショールームとギャラリー作って、自分で消費者に売る、そっちのほうへもっていこうかなと思って。まあ、仕事場とギャラリー作って。(ここに?)ええ。結構ね、まあ来てくれますからね、ある程度、お客さん。だって、今まであんまり、台東区の伝統工芸振興会なんかで、よくあっちこっち催事で出てますけど、僕あんまり出なかったんですよ。で、この間初めてね、福島いわきの方行ってきたけど。まあ、そっちの方も積極的に出て、少し、こうお客さんの開拓とかね、宣伝、いろんな、まあマスコミとかね、ああいう方面で積極的に出てね、で、そういう開拓をですか、やってけば、何とか、やってけんじゃないかと思って。結構好きな方いますからね。毎年ギャラリーで江戸指物展やってんですよ。この不況ですけどね、結構売り上げが伸びてんですよ。(ああ、そう!)ほんとのせまーいとこなんですよ。(今は安ければ良いっていうことでもない?)ないですね。意外に、高額品の百万ぐらいのもの、結構注文来るみたいね。(ギャラリーはいつごろ完成?)いや、まだ夢。(夢?)前ね、上野にちょっとね、作ったんですよ。ちょうど二階建ての二階にね。その頃は業者が多かったもんで、業者が皆仕入れしないでね、「貸してくれ」、それでやめちゃったんですよ。二階だと下から見えないです、透明でないとね。こういうとこでもう、下の、人の見えるとこだったらいいですから。(作ってる人が売るのが一つの良さ?)まあね、材料を選んでもらって、それから作って、お客さんの希望とかね、いろんなの訊いて。(それはお洒落で贅沢!)まあ、そういうふうにやっていこうかなと思って、今。 ●いつも水分を吸ったり出したりしてます ![]() (家具が気候の合わないところで戸が閉まらなくなることがある?)ええ、確かにあります。デパートと家庭と全然違うんですよね。特に冬場なんてね、十一月から二月いっぱいぐらいまで、デパートなんか出すと、天然木ですから、どんどん木は動きますからね、いくら乾燥してても、木は動きますから、いつも水分を吸ったり出したりしてますから。デパートの場合乾燥が強いんですよね、冷暖房がね、そうすると、木が動きますから。まあ、動いても大丈夫なように作ってるんですけど。(昔の日本家屋が夏になると戸を開けてすだれ下げてたのがいい?)一番いいですね、日本の、そういう昔からの建築ですか。(いま冷暖房のない家は無い?)無いですからね。ま、普通の家庭でしたらね、結構大丈夫なんですけどね。特にデパートなんか今まで業者通して出してたんですけど、もう十一月、一月はもう、品物壊すんだよ。(壊す?)壊す様な感じですよね。で、ちょっとおかしくなると、すぐ返品でしょ、担当者が。で、また持って来いでしょ。(なんか馬鹿馬鹿しい?)馬鹿馬鹿しい、やってらんねえ。(笑)(壊されて?)壊されて、すぐ下げろだからね。(手間かけられて。)向こう行きゃ、もうしょうがないんだって、担当者分かってんだろうけどね、やっぱ、立場上はね。こんなものはお客様に見せらんないとか、そういう、うふふふ。(都会や気候の悪いところに長いこと置くと壊れる?)そうですね、多少木が、壊れるって言うか、木が伸び縮み、収縮があって、多少こうね???が出たりしますからね。だから、不具合が出ないよう、見えないところにいろいろ細工するんです。この欅の飾り棚、柱のつなぎ方の、見本なんですよ。(寺の建築の技術?)そうですよね、一応そういう建築技法から分業して、大工とか、建具とか。(じゃあ家も建てられる?)まあ、ちょっと。(笑) ●今の生活にあったものを (自分で作った品物は覚えてる?)んー、分かりますね。(若いときの物でも?)ええ。作り方の、ちょっとした、もう、面の取り方で。一つの面ですね、ちょっとした面の感じでね。同じ小さな面でもね、やっぱ、それぞれみなさんの癖っつうかね、あるんですよ。(指物では銘を入れない?)まず入れないですね。お客さんからね、どうしてもって頼まれれば入れるけども、まず、大抵は入れないですね。(年とともに分かってくる事がある?)んー、作り方はもうね、基本的に、そういう技法があって、そのように作って、あとは、まあ形ですよね。あと、まあデザインを今の生活にあったものを、それをもう少し勉強して考えていかないと。(そういうことが一番大事?)ええ、これからね。ずいぶん言われんですよ、もう少しデザインの勉強したりしろ」って。「これじゃあ、今の生活に合わないぜ」って言われても、なかなかそれから抜け切れないんですよね、もうずーっとやって来てるから。いろいろね、住宅展示場行ってね、じゃあどんな間取りに、どういうもの置いたら良いか、とか。でも、和室一間ですから、まあ、和室に置けるものっていったら、座卓ですか? それと飾り棚とか、ちょっとした小物。昔よくね鏡台とか姿見出たんだけど、いま、あの、全部住宅の中にね、組み込みでね、化粧室があって、そこに全部ありますからね。だから、そういうものはあんまり出なくなったし。だから、小さい小物の家具だったらね、まあ、売れるんじゃないかなと思って。あと、箪笥でもね、いま全部、組み込みでね、入ってますから。(若い人が奇抜な使い方をすれば?)そうですよね。そういうコーディネイトの仕方で、使い方はいろいろね。(カタログを見て喜ぶ女性の潜在的なマーケットがある?)あると思いますね。(みんな買える場所を知らない?)確かに、ほんとにね、あの江戸指物展やっててね、ほんとにいい物ですね、仕事が良くて、材料も良くて、もう値段ではないようなものですね、結構、高価なものでも売れますからね。この、こんな値段じゃ売れないかなってものが、売れてますからね。(年齢は?)んー、やっぱり四十。やっぱり、経済的にあるていど余裕の有るかた。無いかたも、やはりね、いまクレジットで、買うとか。(借家で良いから、自分の身の回りを?)生活を楽しもうってのがあってね。結構、指物展やって、結構若い人が多いですよ、見に来るかた。 ●カルチャーセンターの奥さん連中 (あれはコレクションケース?)そうです。(やはり欅?)ええ。これね、最初ね、デパートのカルチャーセンターの奥さん連中が、いろんなもん作ってね、もう、押し入れの中にいっぱい仕舞ってあるって言うんですね。そいじゃあもったいないから、どっかへ飾ってね、それで、それを作ったんですよ。そしたら、結構売れましたね。これは、小売り価格が五十九万かな。 ●修理もやってます こういうふうな木目の木をね、いま集めてるんですよ。なかなかこういう木がないんですよね。見てるだけでも面白いですね。(何にするかは別として木を集める?)、我々が木目がいいっていうのは、こういうふうな動いてるやつなんですよね。その木目がまた、その木によって、木の環境によっていろんな、こう味があるんですよね。これを眺めながら、何を作ったらいいかなんて、えへへへ。それがまた楽しいんですよ。えへへへ。(家具は一生物?)そうですね。(古い物が修理に来る?)来ます。ええ、修理もやってますから。ぜんぶ締め直して。このお客さんがね、長火鉢一本持ってるんですよ、ちょうど、この、寸法のやつでね。で、それで、もう一本欲しいっていうんで。(どういう人?)結構ね、テレビ見てね、ちょっと古いんだけど、ちょっと調子悪いからね、見て直してもらえますか、良いですよって、で、すぐ持ってきてもらって。で、見たらね、うちの親父じゃないなあ、うちの親父の系統、同じ系統かな、作りがおんなじですね。ちょっと違いますけど、大体ほとんど同じですね。で、それもね、こういうふうな木目なんですよ。で、それと同等の木か、それ以上の木! ちゃんと、見本ありますから、へっへっへっへ。難しいんですよ。そういう木で、もう少し大きいものね、間口九百ぐらいの、奥行き七百五十です。(会社のオーナーか医者?)いや、ごく普通のね、農家、資産家、なんかそんな感じだな。最初、軽自動車ですっ飛ばして来て、そのあとがサニーだった。(笑)(ベンツじゃない?)ベンツなんて。(長火鉢に大渕さんの部分がある?)ええ。これ、普通ですとね、あの、長火鉢の手掛なんかね、切り抜いて違う木がはめ込んであるんですよ。僕の場合は全部、地敷彫(じしきぼり)ってね、彫り出して、削り出してんですよ。だから木目を全部継ぐ。(あっ、ほんと!)だから、木目は全部一枚、揃うようになってんです。(一枚の木の中に物をしまう雰囲気?)そこが。これだけやるには、これだけの厚い木じゃないと、駄目なんですよね。(これ買ったら灰入れて、鉄瓶でも乗っけて、銅壷でも乗っける?)そうです、ええ。 ●組むと分かんないですよね、表から見て この角は、全部隠し蟻ほぞで。われわれ内ぼそって言うんですが、簡単にはね。ほぞには、内ほぞと、外ほぞってあるんですよ。これは正確に言うと、隠し蟻ほぞ。こういうふうなほぞを組む。火鉢とか箱なんかね、こういうふうに。一番安い仕事はこれなんですよね。組むと分かんないですよね、表から見て。(安いほうはなんて言う?)これ? これは芋どめ。何も付けてない。 ●アメリカ人とか、ドイツ人とか (住宅公団が家を作り始めてから悪くなった?)いえ、石油ショック以降でしょうね。あの頃からどんどん、どんどん、じわりじわりと、こう。(売れ方の変化?)そうですね。(昔はどこの家にもあった普及品?)ええ。それとあとね、季節によって出る商品と、それから毎月決まって出る商品と、そういうのがあったんですよね。今はそういうのが無くなって、何が売れるかさっぱり分からない。(今は料理屋が買わない?)料理屋はだめですね。昔は花柳界でけっこう売れたんですよ。花柳界がだめなんで、だいぶ違いますね。(笑)(外国人も買う?)外国人はあんまり。(知らない?)知らないですね。うちにも、一年に一回か二回、近いうちに何人か呼んで、バーベキューで一杯やろうかって。(外人を?)ええ。(どういう人たち?)NHKの文化センターで講師やってんですよ。アメリカ人とか、ドイツ人とか。(彼らはなんて言う?)結構ね、中の一人は興味あって、こないだ大工の道具なんか、どこかから買って来たのかな、なんかずいぶん興味あるんだなんてね。(弟子入り希望?)いや、それはないです、うふふ。 |
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