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私が三代目
材料が無い
指物屋の違い
技術のむづかしさ
弟子
仕事場の掃除
作る心構え
最近の生活に合わせる
仲間
売る悩み
インターネット
父親(引退)
日用品と贅沢品
夫婦
 
 

English interview

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私が三代目
父親(豊二郎)が二代目で、私が三代目。ほぼ百年つづいています。

材料が無い
全般的に少ないですね。とくに桑なんていうのは、ほんとに材料がない。

指物屋の違い
その家、家(うちうち)で得意なものがあるから、箱物が得意とか、材料で桑物が得 意とかっていうのがありますよ。それから三味線箱専門につくってるところとか、お 茶道具専門につくってるところがありますからね。うちなんかは割と全般的にいろん な仕事をやってますけどね。

技術のむづかしさ
えーとねえ。隠し蟻組みホゾっていうのがあるんですけどね。それが一番、江戸指物 の中じゃむづかしいっていわれてますよね。見えないところにこう、蟻形(がた)で 組んである継手(つぎて)ですよね。そうすると溝(みぞ)がぴったり入って。これ ができるようになるには、そればっかりやってるわけじゃないけど、まあ一生懸命や れば3年ぐらいでできると思いますけどね。

弟子
弟子ですか? いや、もっと仕事がたくさんあれば弟子は欲しいんですけどね。なにせ日本人の生活 様式が変わったので、仕事が減り、内容も変わりました。最近では洋家具や仏壇も作 っています。釘を一本も使わない和家具と洋家具は技術もちがいます。

仕事場の掃除
最初は掃除からだよね。それから始まって、刃物の研ぎ。それから徐々に。研ぎも毎 日研いで3年っていうからね。それからホゾを切るとか。のこ(鋸)が真っ直ぐ切れ るまでになるには結構時間がかかるんだよね。なかなか鋸(のこぎり)を真っ直ぐ切 るのは難しいですよね。鉋(かんな)だって裏の台を直さなきゃなんないし、真っ平 らじゃない鉋もあるからね。この台直しっていうのを勉強しなきゃなんないし。鉋に よってぜんぶ違うからね。(自分は)大学出てからやった。それまではやってない。 言葉、技術は二の次ですよ。八時から5時までいっしょに仕事して人間的な心が通う んです。技術は時間で身につく。八年でも指示される通りに作れるけど、一人前にな るのに十年最低。「これやっといて」で、できるようになるのにね。

作る心構え
いつも使う人の気持を考えて作りますね。木のぬくもり、良さを作品に出す。繊細な 中にも堅牢。でも、満足できるものはなかなかできないね。自信作は行灯です。納期 と予算で作るが手を抜かず、材料と塗りで調節するんです。

最近の生活に合わせる
それは考えてますよ。飾り棚やなんかでも今は直(じか)に置くと床暖房なんていう のもあるでしょう? そうすると木が狂ってきちゃうんですよね、温度で。だから狂 わないように、足ものにしたり、そういう工夫はしてるつもりですけどね。昔は日本 のものが入る棚でしたけど、今はワインブームだから、ワインを入れるスペースを作 らなきゃならないっていう感じも出てきていますしね。時代、時代によって変ってく る。ただ伝統の工法で、昔からの日本の木を使って漆をぬるっていうことには変わり はないわけだから、仕事の内容は変っていかないけどデザイン的なものはどんどん変 ってきていますよね。(お客さんからこうしてくださいっていう注文も?)あります けど、あとは展示会やったときに、どんなものがほしいですかとか、どんなものが流 行っていますかっていうようなアンケートをとることもあります。だからインテリア の雑誌なんてのをよく見るよ。

仲間
江戸指物協同組合に十六人いるけど、高齢と後継ぎ無しで最近二人廃業した。和家具組合時代(昭和六十三年)の二十数人から減りました。寂しいですね。うちも職人が四人ぐらいいた時代がありますが、独立したり転職したりしました。

売る悩み
値段が物価とスライドしないんですよ。問屋が在庫をもてない、つまり資力がなくな った。使う人もマンションで畳の部屋がないし、料亭が買わなくなったんです。

インターネット
アメリカに住んでる日本人が職人のホームページを見て面白いって、帰国したときに見に来る。

父親(引退)
デザインの違い。そうね、やっぱり多少ありますね。今はもう自分のデザインでやっ てるけど。(お父さんからのアドバイスは?)ここんとこを丸みをもたせろとか、太 くしろとかいうぐらいで、そんなにはない。

日用品と贅沢品
(昔は日用品、今は贅沢品?)そうなっちゃったんですよね。昔は、大量生産ってほ どじゃないですけど、職人の手間(賃)も安かったし、材料も豊富にありましたし。 でも、やっぱり安いのは安いなりに仕事は違います。今のほうがずっと仕上がりはい いと思います。たしかに、昔はほんとに、生活の道具ですから、そんなに高いものじ ゃなくて、どこの家(うち)にもあったもんですよね。今は、こういうものが無くて も、ほかのもので代用できるんで、どうしても無くちゃいけないっていう品物じゃな くなってしまった。使う頻度も少ないですから無くなってしまう。手間もかかります し、材料も吟味して、無くなったものを探してくるわけですから。


夫婦
妻:典型的なお見合い結婚です。(結婚前に指物は?)そういう業種は知ってました けど、見たことはないです。毎週金曜日に国立競技場で水泳を教えているだけで、茂上の仕事は経理を手伝うぐらいで、切ったり貼ったりの仕事はしません。 夫:シンクロナイズドスイミング。世界第二位だった。小谷実可子の先輩です。 妻:(ソロ?)私はチームだったんです。二十年ほど前に世界第二位になりました。







げ箱(げばこ)
吹き漆(うるし)塗り 神社仏閣やなんかに札(ふだ)貼りにいくときに、げ箱を首から下げ、高いところに 貼るための竿を持ってていくわけですね。で、釣り竿と魚篭(びく)を持ってるから 、ほかの人が「釣りですか」って聞くわけですよ。そうすっと「いや札貼りにいくん だよ」っていう。ひとと同じような格好をしているんだけど、違うことをしてるって いうような粋さがでてくるだよね。

絎台(くけだい)
材料:黄蘗(キハダ) 今はもう絎台なんていってもわかる人いなくなっちゃったから、ま「和裁をするとき に使う裁縫道具ですけれど」なんていっても若い人はわからないよね。でも、若い女 の子がオブジェを飾るなんていうと、あそうかと思う。

宝石箱
猫足(ねこあし)は昔からある(デザイン) ま、どちらかっていうと、洋間でも使えるようなっていうつもりでつくったんですよ 。今の住環境に合わせて。で、宝石だから中が見えちゃいけないかなと思って磨(す り)ガラスにしてみたんですけどね。考えて。

ネクタイ
なるべくこう単価の安いものもつくっておかないと、数できるものとかね。

時代彫り
昔から、こう鑿(のみ)を残す彫りかたがある。目(木目)の中にとの粉が入るよう な塗り方が時代塗りっていう。火で焙る方法もある。(表面に疵がついたら直せる? )もう一回焼いちゃうとか、削りなおすとかね。(修理して使えば何代でも使える? )うん。でも、木目のないような木では時代塗りできないわけだよね。

煙草盆(たばこぼん)
もうだめですよ煙草盆は。たばこ吸う人も少ないし。(若い女の人に江戸風にたばこ 吸いませんかっていうチラシ配ったら?)いいかもね。(なすの形の穴はなぜ?)赤 坂に「なす亭」っていう料亭があるんですよ。そこの仕事よく、うちしてたんですよ 。で、「あ、これいいな」と思って、そこから戴いちゃった。

丸鏡台
あの穴の形は、自分の感性と、あと昔からの「くり型」がある。全体に丸みのかかっ た仕事なんで、ああいうとこにも丸みを出している。

九杯抽斗箱
貼ってあるのは古代裂(ぎれ)。作業が終わってからいちばん最後に貼るんです。京 都の龍村で買ってきたやつ。(旅行へいっても見てまわる?)うん、うん。

行灯(あんどん)
自信作です。(売れた?)七、八台売れてんじゃないかなあ。(やっぱり評判いい? )わりと出ますね。といったって七、八台だからどうってこともないんだろうけど。

踏台
体重八十キロぐらいの人でも大丈夫ですね。こんだけ華奢(きゃしゃ)に出来てます けど、それが江戸指物の特長の一つでもある。華奢で堅牢っていうことでね。こんな 細いものでも踏台にすれば、斜めにアーチ型になっていれば、中を抜いちゃっているけど強いわけだよね。昔からヨーロッパの寺院なんかでも、このアーチ型があるでし ょう? 全部、ホゾで入ってるから堅牢にできてるのね。(上の丸みは足で踏むのは もったいない)そうね。よく「きれいね、踏台にしちゃもったいないわ」っていう人 もいる。「これなんかちょっと人形を座らせたりしたいわ」なんて人もいますよ。使 い方はお客さんのご想像でいくらでもできる。


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