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あたし外国もちょこちょこ行くもんですから
反物の織り目を数えながら縫うんですよね
やっぱりいい物はずうっと続いてますよね
絹ですから重さっというか量で値段が違ってきます
物を売り買いしてもらうのも文化交流
今の考えの方が正しいのかもしれないしれません
大きいのだと一日一個しかできません
お相撲さんの家紋やってたこともあります
相手の名前書いてあげた方が喜びますよね
誠意をもって良い品をお届け出来るよう努力しています

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●あたし外国もちょこちょこ行くもんですから

今回インターネット上でお使い頂くとしたら主に外国でしょうから、風呂敷でも特に 日本的な物を五、六点用意したのと、暖簾も高級な物っていうんじゃないですけど。 あたし外国もちょこちょこ行くもんですから、ええ、今まで三百点ぐらい暖簾注文頂 いて送ったりしたんですよ。英語しゃべれないわたくしがね、送るんですよ。騙され るかなって思いながら送っても、ちゃんと振り込んで来るんですよ。第一しゃべれな いんだし、一方的に、前金来ないで送っちゃう訳ですから、ええ、アメリカ辺りから ね。浮世絵みたいな外人好みの絵柄の物を、安い物を用意して。(風呂敷を外国人は どう使う?)本来風呂敷ですけども、外国の方ほとんどタぺストリーみたいに使われ ると思いますがねえ。それから額に入れてる方もいます。(美人画を教室の入口にか けたこともある?)そうですよ(笑)。「芸者ガールでいいんですか?」って言った ら「いいんです」って。笑っちゃった。(この写真はアラバマ?)アラバマに毎年。 ええ、何とか町会っていう盆踊りの手拭を持ってったら、あちらの小学校の生徒が全 部鉢巻して盆踊り踊ってるんですよ。あの手拭を百本欲しいっていうんで百本あげた んですよ。盆踊りやった写真を去年見せてもらいましたけど(笑)。(親日家の校長 先生?)ええ、日本と中国のことをすごく・・・。日本と違って教育を自由にやれる んですね。ああいう企画をね。だって教室にこんな物張ってどうかと思うんですけど (笑)。

●反物の織り目を数えながら縫うんですよね

(着物の紋も刺繍をする?)家紋の刺繍ですね。(刺繍の紋もいい!)商品としては あんまりね。売れた物に対しての加工ですから、販売するっていうスタイルじゃない んですよね。こういう職人減っちゃったもんですから、全国の呉服屋さんから。(刺 繍はいくつぐらいから始めた?)わたしは遅かった、二十歳前後ですね。(お父さん も同じ仕事を?)いえそうじゃないです。飛び込みで入りまして。(ほんとに?)え え、女房がね、わたしより腕がいいんですよ(笑)。恥ずかしいです(笑)。(奥さ んもこういう仕事を?)女房の方が、もともと腕が良くて、今でもわたし追いつけな いんですけど(笑)。まだ一人前に成れないんです。(細かい仕事!)そうですね、 反物の織り目を数えながら縫うんですよね。まあ「読む」と言いますけど、一歩一歩 こう、この目を。だから織り目一つ間違うとぜんぜん駄目なんです。1ミリ違うって ことは全然話にならない商売ですから。(これも刺繍?)いえ、これはただの染めで す。(刺繍でも同じ柄が作れる?)この上に刺繍でやる場合もあります。例えばこの 紐のとこだけ金の糸で縁(ふち)を取ったり、花が好きだったら牡丹だけ、こう模様 入れるとか。これ全部縫いつぶしだったら何十万ってなっちゃいますからね。例えば 飾りにするから花だけ二万円分ぐらい入れて欲しいとか、そういう形で注文を受けま すよね。

●やっぱりいい物はずうっと続いてますよね

(この日本の柄は外国人にも分かる?)そうですね。花かなんか入れた方が分かるか もしれませんよね。小野小町の百人一首が載ってたのを、意味を説明しろって言われ ましてね、ブラジルから来た奥さんに。一年ぐらいかかりましたよ(笑)。(柄はや はり伝統的な物が多い?)そうですね。まあ、どんな物でも作れば出来るるんですが 。やっぱりいい物はずうっと続いてますよね。(デザインの定番がある?)そうです ね。売れない物はいっぺんで百枚ぐらい作ったらそれで終わりになっちゃいます、そ れで二度と出て来なくなるんですよ。自分が売れると思った物は売れないです。全然 駄目で。これは駄目だなあというような物が売れたりして、世の中皮肉なもんで。

●絹ですから重さっというか量で値段が違ってきます

俗に言う風呂敷っていう大きさはこの68センチ幅なんですよ。二幅(ふたはば)っ て言うんですけど。最近はその上の72センチ90とか色々あるんですけども、昔か ら言う風呂敷のサイズは68センチ。で、絹ですから重さっというか量で値段が違っ てきますんで、おんなじ柄なんですけども、これとあとのを見て頂くと全然物が違い ますってのがわかります、誰が見ても。これはいい物。こっちはちょっと見ても落ち てきます。(これは何ていう柄?)ええ、これ「時代祭り」とでもして置きましょう かね。「時代祭り」のこっちはグリーンですね。こちらもほぼ同じ柄なんですけどピ ンク。でもちょっと違うんです。こっちは前のから比べると落ちますね。(つまり刺 繍と染めをする?)そうですね。染めはデザイン関係が多いんです。わたし独りじゃ ないですけど。染めは上の専門家がいますから。

●物を売り買いしてもらうのも文化交流

東京都の関係でインドネシア行ったんですけど、ほかには日本生活文化交流協会って のが銀座にありまして、そこの理事をやってるもんですから、ボランティアであちこ ちへ日本フェスティバルみたいな形で出かけるんですよ。外国の学校ですね、主に大 学、ドイツでやった時は小学校でやったんですけどね。で、その会場で、江戸職人展 っていうコーナーを作ってもらって、文化交流ですから生け花の先生とか、書道の先 生とか、いろんな方おいでになるんですけど、わたしどもは職人ですから仕事をお見 せして。ほんとは交流だから展示してお見せするだけっていう考え方の人ももちろん 多いんです。でもわたしは職人だから品物欲しいって言うお客さんに売ってもいいじ ゃないかって事で、ドイツの時は特にそういう交渉しまして、最初なかなか難しかっ たんですけど売ってもいいよっていうことで、売らしてもらった。ですから、わたし が行く場合はだいたい、いくらかでも売るという形を、ええ。金儲けじゃなくて、売 った大部分は寄付したりするんですけど、そういう形で折角お見せして、ただ帰って くるだけでは展覧会になってしまうんで、そうじゃなくてやっぱり職人との会話を交 わして、物を売り買いしてもらうのも文化交流だっていうことで、ええ。そういう形 でアメリカ行った時は、小切手は使わないでキャッシュだって言ったら向こうの人に 叱られましたけどね。ええアメリカ文化の冒涜だなんだとか、いろいろ言われました けど、いやあ俺は俺の、日本フェスティバルだから日本流でやるんだって。彼らは百 キロも離れた銀行行って両替してね、ドルを持って来ましたよ(笑)。だから、ニュ ーヨークの時は、日本祭りですからニューヨークにいる日本人の人達でやったんです けどね。その時は呼ばれて行かしてもらったんですけど。ニューヨークから帰って来 て、一週間で次のアトランタ行ったもんですから、その時は入国でかなり厳しく「一 週間ぐらいでまた来るんだから、お前何かやってんじゃないか?」って調べられまし た。わたし英語が分からないっつったら「そんなこと言ったら、お前の英語はうまい 」かなんか言いながら余計なことしゃべらせようと思って、いろんなこと三十分近く 。後ろずうっと行列出来て、人がみんなほか行って、わたしひとり。そんなことあり ましたけど、行って交流するのが目的で行ってます。わたしは、ただお見せして売買 するだけじゃなくって、何かその土地の名物だとか、謂れを探して、かならず行って 見るんだってことで行ってましたし。アトランタなんかの時はもう、「風と共に去り ぬ」の戦場行って、発掘された弾薬とか、軍人のバックルの破片とか、そういう物を 探して骨董品屋で買ってきたりね。だから結構自分なりに楽しんでますけど。(それ が小学校の話につながった?)ええ。アトランタ行った時に、隣のアラバマ州からお 見えの校長先生、かなり年輩の人でしたけど、見えて買いたいんだっていう話しされ て。そのまま帰って来ちゃったんですけど、話しは途中で。電話がかかってきて、そ れで欲しいと言うことでお送りしたんですよ。だから、あたしの英語が通じるんだか ら笑っちゃうなって言ったんですけど(笑)。品物をどう送ったか、税金の問題が無 いだろうかって、いろいろ心配したんですけど、なんとかかんとか通じまして、ええ 喜んでくれましたけど。なんかその後も二、三回注文来て送ったりしてるんです。( 暖簾を教室の入り口に掛ける?)教室の入り口に掛けてやりたいという風におっしゃ ってましたね。(その後もアメリカへ行った?)ええ、その先生の所で勉強した日本 人の方が台東区にいまして、その人が尋ねてみえたんですよ、先生の注文受けたから って。その時はもう全部その人に任せて、頼んじゃったんですけど、いろいろな物を 送ってもらって。その時に写真見せてもったら、日本のこの辺の何とか町会盆踊り大 会って書いた手拭をかぶって、黒人の少年や教室中全員が踊ってるんですよ。

●今の考えの方が正しいのかもしれないしれません

あれは家紋の刺繍です。家紋は何て訳しますか? アメリカ行った時はファミリーワ ッペンって言ってる人もいましたけど、ファミリークレストって言いましたね。(こ れ家紋では無い?)ええ、遊び心での紋ですよ。ですから家紋にこだわる人は家紋を 入れてね。(日本と外国の刺繍の違いはある?)ええ、違いますね。日本は精密です 。化粧回しから旗とか幕、緞帳、それからこういう家紋でも細かいですね。大きい物 から小さい物、ぜんぶ江戸刺繍やってますからね。(緞帳は厚くて大変?)ええ、か なり大きな仕事です。得手不得手があって、緞帳作る人たちにこういうことやらして もできないし、わたしらも大きい物は逆に苦手ですからね。病院で言えば外科の先生 と内科の先生が違うみたいなものでね、お医者さんとしては同じようだけれども。だ からこういう大きいのは滅多やら無いんですね、普段はこういう小さなのをやってま す。(着物の家紋はだいたい3ヶ所?)いや最近は一ヶ所ですね。(背中だけ?)は い。昔はねえ、三つとか五つありましたけれど。お客さんもだいぶ変わってきて、三 つって言えばやっぱり背と袖って決まってたでしょ? 今はそうじゃないですよ。三 つやるのに、若い人たちは背中へ一つやって、胸に二つやる。なぜかと言うと写真を 撮った時に背中と袖だとぜんぜん見えないでしょ? せっかく高いお金出して、紋が 入ってないんで背中だけ撮るって訳にいかないから。胸にあれば顔撮っただけでも見 られる。だから、しきたりとかそういうのじゃなくて、いかに重宝な形がいいかって 言うような。まあ、今の考えの方が正しいのかもしれないしれませんよね、合理的で ね。

●大きいのだと一日一個しかできません

大きいのだと一日一個しかできません。早い人は二つ、三つやる人もいるようですけ れど、うちは信じられないですけど。(手がかかる紋とそうでない紋とある?)ええ 、あります。(値段が違う?)本当は分けなくちゃいけないのでしょうけど、大きさ で今はいってますね、ええ。刺繍をやらないんですよね、もうやる人の数が少ないで すから。それで地方の物はほとんど東京に来ちゃう。小さいこういう形の物は地方の (家)紋屋さんもやりますけど、大きいものは数が少ないから、たぶんやることも無 いし、やってられないっていう形になりますよね。ほとんど東京へくるんです。

●お相撲さんの家紋やってたこともあります

お相撲さんの家紋やってたこともありますからね、昔ね。それと相撲自体が好きだっ たんで。(お相撲さんは着るものに入れる?)そうですね、着物とか羽織とかね。そ れは、そのお相撲さんの紋と言うよりも、プレゼントする人の紋を入れることが多い んですよね。だから社長が作るとすれば社長の紋を。そうすると社長がプレゼントす るときに料亭へ呼んで、ご馳走して、小遣いあげて、着物をあげる。そうすると、そ の次また呼ぶときはちゃんと覚えといて社長の紋を着てくる。違う人のを着てきたら 失礼でしょ? お相撲さんも十両に上がって一場所、二場所かかるんですね、着物作 るのに。ある関取に、わたしは友達と何人かでプレゼントしようって、着物をね。寸 法測って、作って、二場所後に地方から帰って来たから着せたら、もう着れないです 、大きくなちゃって(笑)。それで全部仕立てやり直しですよ(笑)。大変なお金か けて。ほんとに育つの、みるみる育つ、出世する人は。大変です、お金もかかります し。

●相手の名前書いてあげた方が喜びますよね

(名前を入れられる?)どうしてもって言われればやりますけど、あんまり長いと文 字ばっかり目立っちゃうんですね。だから上か下だけがいいんじゃないですかね、フ ルネームじゃなく。日本人がプレゼントする場合は「相手のかたの名前書いた方がい いんじゃないの?」ってわたしは言うんですけど、中には「わたしを忘れないで」っ ていうことで外国へ帰った恋人に、彼女が自分の名前を書いて送るってかたも居ます けど、やはりどうせあげるんだったら相手の名前書いてあげた方が喜びますよね。ま た次の機会があったら、外国向けの面白い風呂敷もあることはあるんですけどね。

●誠意をもって良い品をお届け出来るよう努力しています

わたしの方からお届けするものは何十点かのうちの一点でも、お客様の方から見れば 、それがすべてですから、わたしへのイメージもその一点で決まります。手抜きは出 来ません。誠意をもって良い品をお届け出来るよう努力しています。


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