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百二十年か三十年ぐらい前です
ご注文があればどんな桶でも作る
上手に使えば三、四十年は使える道具ですからね
お風呂だけはステンレスですね(笑)
今の生活に合うものも少し加えていきたい
ひとつだけ作ってくれってゆう(笑)
あまり高いんで、褒めて帰っちゃう(笑)
手早く流すようにして洗っていただく
全部修理がききます
良い材料じゃないと作れない
外人さんが「手四本使ってますね!」って(笑)
十五日が深川祭り

English interview

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百二十年か三十年ぐらい前です
始まったのはわたしからいうと曾おじいさんの代なんですよ。大体、明治の半ばか、終わりぐらいから。だから百二十年か三十年ぐらい前です。(何代目?)親父が三代でわたしが四代です。初代は新右衛門っていって、もう屋号も何もなかった、二代目ん時に屋号を付けて。二代目が栄吉、三代目の親父は栄一っていうんですけど。(勝美さんは栄が付かなかった?)付かない。そういう時代じゃなかったんでしょうね。(五代目は?)まだ小学生ですから。(何歳?)わたしは三十八です。(もう何年仕事を?)わたしは、十二年ですか。学校出て、ちょっとサラリーマンしたんです、わたしは。(どうしてサラリーマン辞めた?)まあ、いろんな事情があって考え直して。(お父さん喜んだ?)そうでもないです。そんなに発展する仕事じゃないですからね。先が、伸びる仕事じゃないですから。それと、勤めたところに、もの作りする方が多かったんで、それで、触発されてと言うか、こういう仕事も良い仕事だな。(それまではどう思ってた?)やっぱり先がないって言うかね、そう言う仕事だとは思ってましたからね。もう、親父の代で終わりかなと。そう言う感じでしたよね、多分。サラリーマンになるつもりで、高校行って大学行ってってしましたからね。ま、アルバイトみたいにしては、材木買いに行ったりするのを手伝ってましたけど、仕事にするためにやってたわけじゃないですね。それで、三年くらい勤めて、いろいろ考えて、やらしてくれって言って、やるようになったんですけど。(実際やってみてどう?)やってみて・・・(将来性は?)将来性はないでしょ。、頑張ってやって、現状維持でしょうね。結局、もう国産のちゃんとした材料っていうは、どんどん伐採する量減らしてますからね。材料の手配っていうのは、もうどんどん難しくなる一方ですね。で、外材で似たような木使ったりしたんじゃあ、良いものにはならないですからね。材料の手配がどんどん大変になりますよね。(結果として川又さんの桶は高級品になる?)桶の中じゃそう言う感じでしょうね。うん、雑器(ざっき)って言う、使い方はまあ雑器ですけど、今、市場にある桶の中じゃあ、ちょっと上のほうの作りになっていると思います。工芸品て言うんですか、美術品としては作ってないですけど、雑器ですけどその中ではまあ上の方です。(需要自体も減って来てる?)そうですね、だから難しいですね。いわゆるスーパーとかディスカウントで売ってるようなものは、ぼんぼん作って売ってますからね。だから、需要自体はまあまあの線なんでしょうけど、うーん、もう、どこの家庭でも使うっていう道具じゃなくなってきてますよね、少しづつね。少し、特殊なって言うんですか、道具好きなかたの、少し特殊な道具にはなってますけど。

ご注文があればどんな桶でも作る
(元々こういう桶が専門だった?)一番元は、お櫃(ひつ)っていって、ご飯入れる器、それだけでしたね。結局そのころは桶を作る仕事の方はすごく多くて、お櫃専門の桶屋さん、樽専門の桶屋さん、お風呂の桶専門の桶屋さん、とぜんぶ作る物で分かれてたんです。そのくらい需要がその当時は多かったんでしょうけど、今は、お櫃をメインに、まあご注文があればどんな桶でも作ると。(メインはお櫃?)そうですね。やっぱり、いろんな桶の中で一番、かぶせる蓋のお櫃っていうのは難しいってことになってる。かぶせる蓋のお櫃ができれば、どんなものでも作れると。樽を作るほうは、かぶせる蓋のお櫃を作るのはすごく大変なんです。お櫃が専門だっていうことが言えるってことは、まあちょっと、気位を持ってるって言うか、腕が良いんだっていうことを含んで言ってる。

上手に使えば三、四十年は使える道具ですからね
(桶屋さんの桶はどういう所で使われる?)普通、七割ぐらいは一般のご家庭用ですね。あとは、料理屋さんとか、皇室の儀式で使うようなものとか、神社仏閣の儀式用のものですとか、そういうんな、まあ三割ぐらいですかね、専門店で。(それは特注?)そうですね。こういうのを使ってるから同じの作れとか、こういうの作りなさいとか。お櫃とかお風呂の桶といったものは大体、もう家庭用ですね。六割、七割が家庭用。(電気釜を使う人が多くても?)それは多いですけど。特にここ七、八年ぐらいは、お櫃を使いたいってかたは増えてますね。結局、お米の銘柄にこだわったりするかたが、だんだん多くなってきましたから。そうすると、今度炊飯器にこだわったりとか、お水を気にしたりとか。そうするとその流れで、じゃあ炭火でなきゃとか、最後の仕上げにお櫃に入れることで、良いお米の味が分かるって言うんですかね。(電気釜は良くない?)保温にすることで、暖かくは食べられますけど、やっぱり味が落ちてくのは早いんですよね。それに、気がついたかたが、だんだん多くなってきたって言うんですかね。(値段は?)これが二万千円。(炊飯器の方が安い?)ああ、そうですね。でも上手に使えば三、四十年は使える道具ですからね。(これは何合用?)これは四合ぐらい。二、三人ぐらいで、使うのに。(お櫃の良さは?)ご飯が冷めてもおいしい。(ベチャベチャしない?)・・・と言うか、水分が調節されますからね。(材料は?)あの、本椹(ほんざわら)って言うんですけれど、桧の仲間で椹っていう木があるんですよ。その中でも、樹齢三百年からなる、天然木を本椹って言うんです。うちじゃ、その材料だけを使って、桶は作ってます。(桶の材料は全部それ?)それなんです。(国産しかない?)うちで使ってんのは国産だけと。結局、その材もさっき言ったみたいに、切る量調整して減らして、なかなか手に入らなくなってきてるんで、似たような外国の木を使ったり、植林した木を使ったりして作る木工所もありますけど、木質が全然違う。(売れたら嬉しいけど、売れたらまた材料が大変?)だから、バブルの景気の良いときも、注文はたくさん入っても、一年で作れる量は決まってますから、そんなに儲かったわけじゃないし。今、景気が悪いって言っても、そんなに大変にはなってないって言うんですか。一年で作れる量は、大体いつも一緒ぐらいですから。(洋風の暮らしの中でこういう和風のものを使う人も多い?)それは居ますよ。お風呂もユニットバスだけど、木の手桶を使っているかたですか。

お風呂だけはステンレスですね(笑)
(これは何て呼ぶ?)竹の箍(たが)ですね。(竹の箍は、今もう少ない?)んー、まあ一般的ではないですけど、やっぱり竹の箍がいいって言う方もいっらっしゃいますから。んで、使いますね。ちょっとこう、古い感じって言うんですか、伝統的な感じがしたい方は竹の箍でっていう風に注文されますからね。(漬物樽は錆びるので銅は使えない?)そういうことですね、塩気が出ますから。漬物樽だけは竹じゃないと、駄目ですね。(おいしい漬物ができそう!)んー、使ってるかたはそう言いますよね。結局、木目を通して空気が、行き来すると、その余分な塩気なんかをこう、逃がしますからね。(川又さんも家では桶を使う?)そうですね、大体一通りは使ってますね。(お風呂は?)お風呂だけはステンレスですね(笑)。木のお風呂まではちょっと。(風呂桶は別な職人さん?)今じゃうちでも作りますけどね、大きいのは浴槽まで。(お風呂も桶?)角丸って言いまして、ちょっと小判形に近いような感じの、桶形ですね。以前はそこに銅の釜が付いて、で、釜口って言って、火を焚くところが付いて。(銅壷が入ってた?)まあ、その感じですね。大体その感じ。(隣のおじいちゃん、おばあちゃんのうちは桶じゃなくて木の箱だったけど?)箱だった、四角いのですね? その辺のほうがちょっと、上等と言いますかね。お風呂としては、箱型の方が、良い作りになってますね。家庭用としては、ああいう角丸って言って、小判形のが一般的で。そういうちょっと高級な感じのところでは、その箱型のを使ってる。(高さは?)そうですね、えー、七十六センチぐらいですかね。跨いで入るには、小柄な人は、入りにくいですよ。で、踏み台の高いの置いたり、簀子(すのこ)の高いの置いたりしてたんですよね。

今の生活に合うものも少し加えていきたい
(ワインクーラーは最近考えた?)ここ、五、六年くらいですかね、ええ。(売れる?)そうですね、やっぱり。お遊びの道具というか。もうひとつは、氷が溶けにくいですよね。氷が溶けにくいし、結露しにくい。汗をかきにくい。(勝美さんはこれから新しい物を作る?)んんーそうですね、まあ伝統的なものも作りながら、一割か二割はこういうのも少しずつ足していってとか、そういう風に思ってます。やっぱり、伝統的なものはそれなりにね、いい物がありますから。意味があってずーっと続いてきてますから、こりゃまあ無くさないでやってきますけど、やっぱり今の生活に合うものも少し加えていきたいなあと。(この金魚鉢は?)これでもう十年近くなるんですよ、作ってから。(水が滲んでこない?)そうですね。(どうして?)それが技術といいますかねえ(笑)。仕掛けっていうわけじゃないですけど、ちょうどぴったり作って、運命っちゅうことで(笑)。(木が水を吸うってことはない?)まっ、吸ってますけど、外は乾いてるんでしょうね。よく、アイスペールがあるとしますね、水が漏れるから、少しふやかせれば止まるんじゃないかって言いますけど、漏れるやつはいくらふやかしても止まらないです。

ひとつだけ作ってくれってゆう(笑)
(下が広がっている釣りの餌箱は?)普通、逆さ桶って言えばもう、あの形をいいますね。下広がりになってますから普通の桶と逆の傾斜です。ああいう作りにするのは、あのものぐらいしかないですね。(売れる?)そうですね、でも、やっぱりああいうの欲しいかたは、自分の使い易いのが欲しいんですよ。だから見本を買わないで、高さあとじゃあ二センチ低くしろとか、蓋の割り方を七三ぐらいにしてくれとか、穴をこのぐらいに空けてくれとかゆって、注文したいんですね。注文したのを、持ちたいんですね。おんなじのをいくつか作れば作りやすいから、お仲間たずねてくれってゆっても、ひとつだけ作ってくれってゆう(笑)。(川又さんに注文つけるのはいい度胸!)(笑)

あまり高いんで、褒めて帰っちゃう(笑)
これは石鹸台、こっちがシャンプー台っていうものです。(シャンプー台が横に滑る!)まあ、外して良し、ね、ずらして良し。(素敵って言う人に限って買わない?)そりゃあ意外に当たっているかもしれませんね。あまり高いんで(買わない?)褒めて帰っちゃう(笑)。

手早く流すようにして洗っていただく
(手入れは?)大体全般に言えることですけど、洗うときは手早く洗って、浸け置きしないで、手早く流すようにして洗っていただくのと、あとは日陰干しで、自然乾燥でよく、充分に乾かしていただくと、この二つですね。(浸けておくとくと何が悪い?)結局、ふやけて、木が傷むのが早いですね。ワインクーラーとかね、そういうものは、そういう使い道ですからしょうがないですけど、水物を入れない作りのものはなるべく、浸けない方が長持ちしますよ。(洗剤は?)洗剤は、磨き粉、クレンザー、クリームクレンザーは使えます。(中性洗剤は?)使わないですね。で、たわし、スポンジでも結構ですけど、お薦めするのは糸瓜(へちま)ですね。糸瓜にクレンザーを付けて、木の目なりに、こう、磨いていただくと。(昔やった覚えがある!)昔は灰、かまどの灰でね、特にこういう銅の所は、光らせるにはかまどの灰がいいって。

全部修理がききます
(修理もできる?)全部修理がききますから、十年、二十年使ったあと、また削り直したり、箍を締め直したりっていう修理はできます。うちの桶はそういう風に作っていますから。(うちのお櫃はペラペラな箍だった!)止める部分を鍵形に切って・・・真鍮鑞付けって言い方してますが・・・これが一番いい結合の仕方なんですけど、重ねて焼き付けてるだけのもあります。そうすると、そこが弱くなりますから、伸びたり、割れたりしやすいと。こういう真鍮鑞付けで結合してあれば、一番しっかりした継ぎ方ですね。(丸みがあって綺麗なのは厚みもあるってこと?)そうですね。薄ければ木の収縮に負けやすいし、厚みがあればしっかり締める力、出ますからね。大体、名前が入っている桶なんてもう、ほとんど無いんですよね。名前を入れてる桶っていうだけで、まあ、ある程度の作りだなあって見分けられます。

良い材料じゃないと作れない
(木で桶の丸みを作る方法は?)あとで見ていただきますけど、曲がった鉈で割って材料を取るんですよ。だから、材料取る時から、丸く取ってる。板を製材機に入れて丸く削るやり方も今ではあるんですけれど。(鉈で割る?)ま、伝統的方法としては、そういう取り方をするので、よれたり、ねじれたり、でこぼこしたりしますから、良い材料じゃないと作れない。(材料をどう扱う?)最初、水で洗ってですね、洗って乾かして、洗って乾かしてって何度かして、最後は乾燥させるだけ。大体三ヶ月ぐらい。で、一番最後にこの、鉄の網に積んで、この裏に室(むろ)っていう部屋がありますけど、そこに入れて加熱乾燥。で、いちんち(一日)加熱乾燥したのを、ああやって組み始めるんです。水で洗って乾かしてってことによって、余分な油を抜くのと、灰汁(あく)を抜くのと、あと狂いを出すっていうんですかね、暴れさせるっていいますけど。(暴れさせる?)ええ。(椹(さわら)はどういう性質?)水とか酸に強いのと、香りが柔らかいのと、木目が緻密ですから反りや狂いが出にくいのと、軽いから扱いやすい。(桧との違いは?)そうですね、ヒノキ科の桧、ヒノキ科の椹なんですよ。だから性質はほとんど一緒なんですけどね、ただ桧は少し香りが強いのと、木が少し重いですよね、椹に比べると。(赤い木?)そうねえ、まあオレンジ色というか。桧は少し薄ピンクというか、黄色に近いような色ですけど。


外人さんが「手四本使ってますね!」って(笑)
(お父さんが切ってるのは何?)あれは、出来ると飯台(はんだい)、寿司桶になるんですけど、その下の部分の長さを揃えて、取ってる状態ですね。(足でくるくる回すのがすごい!)(父)昔、外人さんが「手四本使ってますね!」って(笑)。(最初、材料はどんな形?)(父)こういう割ってない、板。(子)今、そこでやりましたけど、内側を削るんです。(父)こういう鉋で、丸めるわけね。(何回削る?)(子)まあ二回くらい。(外側を回す角度はどうやって決める?)まあ、何百年か続いた、桶のカーブに合わせてやってるわけです。これは荒削りですから、大体です。(巻いてある箍は銅ではない?)(父)これは粗っ削り、もう一回やる。(子)あれは仮の箍で、仮箍です。で、糊を入れて乾かすために、これをかけて乾かして、外側を均(なら)したり、中を仕上げてから外して、外側を仕上げるわけです。それから銅の箍をかけて、締めて、で、この底の板を上から叩き入れてく、作業です。(底を入れるのが最後?)そうですね。一番最後に底入れて、不揃いな所をさらに丸めたり、足(???)っていう杭を入れたりして仕上げてゆく。箍を締めてから底を入れるんです。(材料は糊でくっつける?)糊で固まっているって言うよりは、箍(たが)で締め付けて、そこの部分で少し張り出すというか、突っ張っていることで狂いもこないし。(箍を抜くとバラバラになる?)まあバラバラとはいかないですけどね。

十五日が深川祭り
(勝美さんは御神輿も担ぐ?)ああ、そうです。ちょうど十五日が深川祭りっていう大きな祭りだったんですよ。それは役員やってますから、いろいろ大変でした。


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