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アマチュアさんが使うものではない
お殿様のお抱えの刀匠が居た
靴屋さんの修理
男の方好きな人多いんですよ、刃物はね
少し使いこんだ方が
この辺はもう勘ですね
 
アマチュアさんが使うものではない
うちの品物はどちらかといういと、アマチュアさんが使うものではないんですね。た だ、レザークラフトなんかでね、アマチュアさんも使いますけどね。(刃物だったら 何でも作る?)いえいえいえ、これがもう八割以上、九割です、今のほとんど主流。 皮、ゴム、木工、ワイシャツなんかの裁断とか、そういったものに使うんです。(ゴ ムっていうと?)そうですね、ゴムはね、いろいろですよ。たとえば、タイヤを作る ときに、最終的にバリが出るんですよね、タイヤの外側にちょちょちょっと、そうい うもののバリ取りとかです。(大きなタイヤメーカーも手でやってる?)ちょっとそ れは、直かには入りませんから、中には業者が入りますからね、わかりませんがね、 そういう話は聞いたことがあります。(バリ取りで沢山売れる?)うん、そうですね 、問屋へ納めて、その辺から動きますけどね。(何包丁って言う?)皮裁ちって言い ますけどね。あとはね、あの合板、今あの建築材で木目をプリントしたものがある、 それをベニアに張って商品化するらしいんですけど、そのときのちょうど木目合わせ ってありますよね? それがね、ぴたりと目が合ってないと商品として価値が無いそ うですよ。そのときにシャープな刃物じゃないとピッタリ合わない。あとはピアノ、 私なんか聴いてびっくりしたんですけども、たとえば浜松の方のね、最終仕上げに一 発でスッとなんかやると、艶(つや)が出るそうですよ、ペーパーで磨いたりしない で、そういったもので大変艶が出て、仕上がりが良いとかって。(燧さんの知らない 所で使われる?)そうなんですよね、だから、そういうも用途もね。普段は一般的に は皮の手袋ですとか、ベルト、帽子、まあちょっと用途はねいろいろ、いろいろです ね。(足袋屋さんの包丁は?)丸い包丁ね。あれも、昔はやってましたけどね、今は やっぱり需要が少なくて、どんどん限られちゃいましたね。(皮裁ち包丁はどのくら い前から?)これはもう古い、先代からですね。だから、大正ぐらいからですかね。 (二代目?)三代目です。(初代は違う包丁を?)まあ、その時代時代によってね、 鎌ですとか、ええいろいろ家庭の包丁もやったでしょうし。でも、今は八割以上・・ ・。(残りは?)もうほんの、今お話しになった足袋を作る丸いのがあるでしょう?  でも微々たるもんですね。

お殿様のお抱えの刀匠が居た
(三代目というともう百年?)ですね。もともとは福井県の武生(たけふ)市ってあ るでしょう? そこの出身なんですよ。先々代がね、そこから出てきて。(名前を継 ぐ?)それはないです。ただ、包丁のブランドだけ継ぐんですけど、秀次(ひでつぐ )ですね。(苗字の燧は?)これはねえ、もう昔から。火打石のひうちって言うんで すけどね、ですから、なんか関連があったんでしょうかね。親父たちの話によると、 昔は刀鍛冶だった。武生に出城がありましてね、その御藩鍛冶に、要するにお殿様の お抱えの刀匠が居たらしいんですね。その中に入ってたという話は聞いていましたが 、真偽の程はわかりません。(三代目で元は刀鍛冶?)みんな刃物関係の人はそうい うかたが多いですよね。たいへん珍しい名前ですよね。(武生に同性は多い?)それ がね、少ないんですよ、親戚だけなんですね。福井県の今庄町(いまじょうちょう) に燧ヶ城跡(ひうちがじょうし)があり、燧の地名もありますので、その関係かもし れませんね。(親戚一族で刀鍛冶をやってた?)その辺どうでしょうね。今はそれぞ れ、こういう時代ですから、サラリーマンとかしてますけどね。(包丁作るのにも鍛冶をする?)昔はそうでしたよね。今はね、もういろんな方法がありましてね、たと えば量的に昔のような作り方しても間に合いませんでしょ? まあ、感覚的なものも ありますしね。ですから機械加工も結構あります。正式に言うと伝統工芸振興会は完 全な百パーセント手作りでなくちゃいけないと思うんですけども、やはり品物によっ てはそうばかりは言ってられないですよね。ただその伝統的な製法に則って、という 風なところですよね。(二百年経たないと伝統工芸の技術にならない?)東京都の伝 統技能師っていうのは、そういう風な規格があるようですね。(刃物にも?)もちろ んあるんですよ。百パーセントハンドメイドのものでなければいけない。昔の鉄鋼で なっくちゃいけない、ですけど今はステンレスもいっぱいありますでしょ? ですか ら、そうも言ってられない時代ですよね。それとあと、要求されればね。

靴屋さんの修理
(ハンドメイドも作る?)ええ、やっぱり要望がありましてね。素材の問題もあるん ですよ。たとえば、専門的になっちゃうんですけど、普通のSK材という炭素鋼だけの 鋼(はがね)と、それからSKSといいましてね、少しクロムとかモリブデンとか特殊 なものが入る材料とか、そういったものはやはり昔の倍もあります。あとは量的な問 題なんですよね。量をたくさん作る場合には今の技術で十分に補えますし、それなり の仕事も見つかりますから。ただ、ハンドメイドも一応のかたちとしては則って、流 れてはいるんです、ええ。(それは本当に特注?)なりますね、そういうのは。まあ 量産ではなくてですよね。(そういう包丁は切れが違う?)うん、確かにね、特殊鋼 は刃持ちもいいでしょうし、ただ今度は、どうしてもハンドツールですからね、手研 ぎになりますからね、そういうのが多いですからね、研ぎ易さがちょっと難しくなり ますね。昔からの単なる炭素鋼の方が早く、研ぎ易さというか、そういう点はありま すよね。まあ痛し痒しでしょうね、ですから。よく靴屋さんの修理、いま昔ほどない けど、そういうのによくうちのを使いますよね。(底を打ってから周りを切る?)そ うそう、それも今はもう、デパートなんかにあるじゃないですか、手安く、接着剤で くっ付けてね、そういう方法もずいぶん変わってきましたからね。

男の方好きな人多いんですよ、刃物はね
(あれは?)あれは台湾の登録商標なんですけどね。結構台湾に行くんですよね。( 世界中に売る?)世界中って言っても、私は直接的には台湾ですね。台湾からまた出 ていくようですけどね。あとスポットでシンガポールですとかね、東南アジア系が多 いですよ、やっぱり。シンガポールからタイランド、マレーシア、その辺が需要があ るようですね。(燧さんの技術がいいから?)そういうことかもしれませんね、評価 されているのを見てもね。(素晴らしい!)もう長いことやっていますから、もうそ の辺の所が、ええ。(あとの二割は何を作る?)ええとね、今ほとんど動かないんで すけどね、需要がゼロに近いことですけども、たとえばボタン鑿(のみ)ってのがあ るんですけどね。そういう特殊なものもありますが、もうほとんど今動かなくなりま したからね。(別な包丁を手に)昔はこんな包丁がよく使われたんですけどね、ぜん ぶぐるりと刃が付いてるんです、槍みたいでしょう? これはワイシャツの襟のとこ ろ。やはり今は量産ですけども、特殊な高級品はね、もっと小さいんですよね、何百 枚、そうすると手裁ちでこういう包丁使うんですよ。これも幅がいろいろこうあって 。(皮裁ちは皮だけ切る?)皮だけじゃないんですね、名前は皮裁ちって言うんです けどね、いろいろなものに、布もカットしますし、木工にも使えますし。(いい!) 男の方好きな人多いんですよ、刃物はね。危ないんだ! エッヘッヘ。

少し使いこんだ方が
(包丁は使うと小さくなる?)そうそう、そんでね、手なじみが良くなるでしょう?  そういうところが刃物の・・・みなさんねえ。新しいものよりも少し使いこんだ方 が、大変具合がいいと、そういう話は沢山ありますよね。(手に馴染んでくるから? )そうなんです。

この辺はもう勘ですね
(叩いて刃を入れながら)この辺が伝統的なんでしょうね、きっとねえ。ひとつひと つね、なんかいちいちこう感じてないでね、手がそういうふうに動いちゃうんでね。 (叩くのはなぜ?)けっきょく慣性でね、小学校のとき理科で習いましたでしょう?  こっちへ入ってきちゃうんですよね。今、理科って言わないのかな。(何歳から作 り始めた?)私はですね、学校卒業したときからですからね。高校、まあ大学一応行 きましたけどね、実際にやり出したのは高校時代、いや私は旧制だから、中学校5年 か。(旧制?)旧制ですよ、私は。ちょうど新制と切り替わるくらい。昭和六年生ま れだから。(一つの工程がもう終わった?)エッヘッヘ、そうなんですよ、この工程 は、非常に簡単に見えるでしょうけどね。(今のは穴を?)ええ、調整してるんです ね、これ。これ全部みんなね、少しずつ違うんですよ。ですから、込みでだいたい見 てね、合わせるんですけどね。この辺はもう勘ですね。緩くてもすぐ抜けちゃいます しね。ただ叩いているように、見えるでしょうけどね。(その木の棒は何を?)それ はね、叩くことと、こちらがどうしても狂うんですよね、左右に。それを矯正するた めにちょうどこのように。(目で見て狂ってるのがわかる?)そうですね、パッと見 て、瞬間的に。日常茶飯事だから、なんか習慣的に手が動いちゃうんですよね、ええ 。(工場はどこ?)工場は、今はもう地方でやってるんです。前はここでやってたん ですけどね、音がうるさいですし、なかなかやってられませんよ。(研磨もする?) そうですね、叩いたり、研磨したりいろいろですよ。

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