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つなぎ文字がうけてます
量産する時には考えてやっていかないと
百個もやったら大変ですよ、死んじゃう
本当は残したいですね、後継者
「あんた商売下手」
掃除する時間無いですから
●つなぎ文字がうけてます
(名前の一筆書きのペンダント?)これは「つなぎ文字」っていうんですよ。注文製 なんですよ、だいたいがね。外国人にはうけると思います。きのうもね、外人さんの ジェフって人にあげるんだって、片仮名と平仮名で作った。(自分の気に入った言葉 もできる?)そうです。「人間だもの」とか「正雄いのち」なんて。(笑)これは来 年の干支(えと)なんですよね、龍。(昔からある?)自分で書いてっていうのは無 いでしょう、今まで。ほかにやってないですよ、こう自分で筆でス−スーって書いて 、デザインを見せて、任せてもらってやっちゃう。そういう面では面白いことやって ますね、わたしは。(金?銀?)金と銀で。(作ったあとで送る?)あとで送ります 。その場で作るのは無理でしょうね、数が多すぎますもんね。せいぜい二箇ぐらいい っぺんに切っちゃって、一箇を売るぐらいですね。ですから、たとえばその人が何箇 か欲しいっていう時には、その方向でやっていけば同じものがいくつも出来ますから 。そういう方法もあるんですよね。(作っておけば同じ名前の人に売れる?)うーん 、でも面白みがないね。やっぱり独特の、作るたんびに違いますからね。(自分の物 を持つのはお洒落?)そのへんがうけてますよね、やっぱり。喜ばれて、何度も頼む 人もいるし、家族で作っちゃう。で、男も女もやってくれって言う。(何代目?)二 代目です。(お父さんはつなぎ文字を?)やってないです。ほとんど優勝カップとか 、お盆とか、それから和茶器とか、そういうことで来た。だから、そこから脱皮して っていうか、だんだんゴルフのカップとかをやめた。(つなぎ文字はいつ頃から?) これはね、二、三年前からです。

●量産する時には考えてやっていかないと
今わたしの本業はお香の道具なんですよ。(これは?)これは水滴の原型なんですよ 。これから型を取って、それから中をハイテクでもって空洞にできるんです、そうい うのを作ってるんですよ。(ハイテク?)メッキですよ。これを元にしてワックスの 原型っていうのを取るわけ。それに通電するような物を塗って、道具にかけてメッキ する。で、銅を溶かして銀だけにしちゃうとか、金だけにしちゃうとか。だから今、 アクセサリーとかそういうんで、値段がわりあい安い品物は量産ができる。それを利 用して、水滴。(装身具が多い?)お香の道具が主ですよ、やっぱり。あと、催事が あったときに、売物としてアクセサリー類をやってる。お香の道具がそういうところ で売れればやれるんですけど、だいたい専門の香りの店とか、そういうとこでしか売 れない、なぜか。でも、催事をやってて、お客さんとの接点できて、こういうの出来 るんですよ、直せるんですよってことでね、つながりができますよね。(作るために 自分でも香道を?)やりません、ぜんぜんやってません。聞いて、いろいろ伺って、 「こうじゃ駄目」というような先生が居るんですよ。その先生からいろいろ教わって 作るくらいで。(これは?)これは観音様が入ってるんですよね。で、これで鎖つけ て、こういうのけっこううちは多いんですよ、観音様系が。伽羅の香木を入れたり。 (細かい仕事?)仕事は細かいけど、原型がしっかり出来ればね、どうってことない んですよ。(すべて原型あり?)原型をまず作んないとしょうがないですね。量産す る時には考えてやっていかないと、どうしても値段がこなれてこないでしょう?

●百個もやったら大変ですよ、死んじゃう
(大量生産はどうやって?)キャスト。よく指輪とかそういうものやってるでしょう ? あの方法なんですよね。「人間だもの」のペンダントはそういう方式でやってま す。でも名前のはほとんど一個物で。(キャストも自分で?)それはキャスト屋さん です。持ってくだけですから。ですから、たとえば早くやってくれとかね、通販とか そういうのでまとまった場合にはね、同じ模様で早くっていう場合にはそうしてやる んですよね。一個、一個やってたら、百個もやったら大変ですよ、死んじゃう。(笑 )(名前は自分で抜く?)抜くんですよ。(表面は?)叩く場合もある。(これは槌 目を付けない?)付けないほうがいいんじゃないかと思ったんですけど、荒らしたの がいいって人もいるんですよね。いわば、伝統的工芸品っていうのは叩く表面加工が 必要なんですよ。(磨いたのもいいのでは?)また魅力なんですよね、ピッとね。で も、磨かないで少し荒らすと伝統工芸品になります。

●本当は残したいですね、後継者
(この仕事は何歳から?)高校卒業してから。(お父さんが一代目?)そうですね。 だからもう四十年になります。(仕事は?)まあ何でもやるからね、やればできるん ですけど、時間が無いっていうか、お香の道具とかで手一杯。だから仲間どうしで頼 んだりね。(いま一人?)わたし一人。せがれがねえ、うちの仕事を継ぐか、勤める か、その境目でむこう向いちゃった。ホンダ技研の研究所の、粘土でオートバイの形 を作る、わたしと同じようなことをやってますけどね、そっちへ行っちゃったんです 。そこで落ちりゃ良かったんですけどね、続いたんですよ。むこうのほうが休みも多 いし、ボーナスもあるから。(お父さんの代には職人さんが?)居ましたよ、もちろ ん、おやじの代には。よく育ててましたね。今はなかなか、弟子をとるのも面倒くさ いですね。教えるのが面倒くさい。もう、こうやって、こうやって、こうやってって ね、けっこう時間とられちゃうから。そんなら自分ひとりでいいや! 自分の代でお しまい!(笑)(もったいないのでは?)まあね、なんとか残したいですよね。こう いうお香の道具だけでも、たとえば寸法を残しておくとかね、そういうことは考えて ますね。お香の先生と話をして、作法を残そうじゃないか、道具もけっきょく寸法を 残しとかないと、あとの人が困っちゃうよって。だんだん崩れて行くんですよ、香道 も。宗匠(そうしょう)が亡くなったりなんかすると、誰にもわからない。(寸法は 厳密?)ええ。これねえ、やはり考えたら、何寸×何寸が一番いい、昔の。センチじ ゃなかなかね。四寸五分とかね、そういう長さでピシっといっちゃうんですよ。そう いう寸法のけじめはちゃんと残してやっておけば、きっと楽だと思いますよね、こう いう道具としては。それだけでもういいんじゃないですか?(笑) (あとは誰かが やってくれる?)あとはね。そうそう、しっかり寸法さえ出しておけばいいかなーっ と思って。でも、誰かに残したいですね、後継者っていうか、受け継いでくれる人を ね。残さなきゃいけないんですよね。われわれの職人の宿命じゃないですかね、残し て行くのが。みんな持って行かれて無くなっちゃしょうがないですもんね、技法が死 んじゃうじゃないですか、絶えちゃう。うちの場合はね、象牙とか木とか、金属だけ じゃすまないんですよ。象牙なんてとくに、わたしなんかぜんぜん今まで、たとえば ティーポットの手とか急須の柄ぐらいしかやってないんですよね。まあ少しはやって たから楽ですけど、ぜんぶ自分でやらないと駄目なんです、職人さんも少なくなって 。ぜんぶ自分で一から作らなくちゃならない、木も。(忙しくて弟子なんか育てられ ない?)あれだって大変なの、教えたことありますけどね。時間とられたり、次の日 のお弟子さんのための仕事を準備しなくちゃいけないとか、いろいろあるでしょう?

●「あんた商売下手」
(デパートの実演販売は役に立つ?)お客さんの意見がね、反映できるから、デパー トでの実演は最高ですね。何が欲しいかわかるから。たとえばそこでお客さんがこれ が欲しいっていうものを作れば、買う人がかなりいるでしょう? 家でじっとして、 何を作ろうかななんて考えているよりかいい。(頻繁にある?)やる人はもう一年中 、わたしは年に十二回ぐらいです。(作れない?)作る時間がほしい。(広瀬さんは どっち?)ええ、なんかやっぱり作るほうの人間なんですね。言われましたよこの間 もマネキンさんに「あんた商売下手(笑)、やっぱり作るほうの人ですね」、まけち ゃうんです、すぐ、「あの、値引きしてちょうだい」なんて言われると。(笑)甘す ぎる。ちょっとまけりゃいいんだけどね、「そんなにまける必要ない」なんて言われ ちゃってね、もう。いいじゃねえか、俺が作ったんだから!。(笑)あとは宣伝です ね。(パンフレットを見せて)この間ちょっと、こういう催事に出たんですよね。そ うしたら、歌、「女の操」かなんかが流れてて(歌う)「あなた〜のた〜めに〜」っ てあるでしょう? (「あなたのために」のペンダントを持って)これ、乗っかるよ !(笑)。(演歌流しながら売る?)やろうかな。ちょうど、なんかねえ、面白く当 てはまるんですよ。面白いなあと思って。

●掃除する時間無いですから
(ここで仕事の写真を撮る?)奥があるんですけど、でもきたないから。催事が重なるとね、仕事をして、そのまんまでパッと行って一週間居ないでしょう? で、帰っ て、なんだかんだガチャガチャやって、もう催事になっちゃったと、もうそんなんで 、掃除する時間無いですから。(忙しいのは良い?)ええ、忙しいことは忙しいです よね。それはいいですけど、ほかにもいろいろ・・・。(仕事の無い人がいっぱい居 るのに?)あ、そういう意味では、おかげ様で。

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