|
|
(組み紐の用途は?)用途は色々なんですね。巾着の紐から、お茶の仕服(しふく) って、茶入れを入れる袋にも紐が使われていますしね。あとはアクセサリーに使うと か、用途は色々なんです。絹の紐ってのは、色数と太さを揃えてる所ってのが日本の 中でも殆どないんですよ。(ぜんぶ絹?)そう、うちは絹しかない。絹じゃないのは どこでもやってますけどね。(紐はメーターで売る?)ええ、メーターでやってます けどね。(希望の長さを切って送る?)そう。(組み紐は日本だけ?)外国じゃあ組 み紐が殆どないんですよ。フランスあたりにはアクセサリーに使う部分がちょっとあ るんですけどね。(向こうで作ってる?)作ってる。うん、まあ縒り紐みたいなもの ですけどね。でも我々から見たらなんかおもちゃみたいな、そいでも結構センスがい いっていうかね。(笑) (外国人も来る?)外人さん来ますよ、うん。(何に使うと言って買う?)こういう のはベルトに使うって言って。(おかみ)向こうのかたのほうが上手なんですよね。 (親方)昔、ノーベル賞を貰った人が何回か来てたな。(おかみ)リボンに結んだり 、柱のとこに細い紐ありますよね、そういうの首に一本とか二本とか巻いてネクタイ みたいに結んだりね。あと、この辺に巻いてベルトにしたりね、ほんと上手なんです よ。(見習わないといけない?)そうなんです。ほんとにね、考えられないような発 想というか、それがまた、しっくり合うんですよね。面白いです。(笑) うちはもう百何十年やってるからね。(明治九年創業?)ええ。(始めたのはお父さ ん?)いや、もっと前。一応、大正生まれで。(笑)(おじいさん?)もっと前。( 糸も染めてた?)昔は染屋さんていうのが居てね。今は東京には染屋さん居ないんで すよね。(今は自分の所で染める?)うん。(いくつぐらいから組み紐を?)そうで すね、十八ぐらいからやってます。結構いろんなとこ行って、修業しましたからね。 (難しい?)んんー、難しくはないですよ、根気がいるだけですよね。あと向き、不 向きでしょう。(すぐにできる?)できる人はできますね。ただ安定するまではそれ なりに時間かかりますけどね。組むのは工程の一部ですから。種類が多いですから、 組み紐っていうのは。刀の紐から、能面の紐から、籠の紐とか、犬の品評会で使う紐 ってのがあんですよ、ええ。(犬の種類で違う?)そうそう。雄(おす)だから太く しろとかね。(笑)(印籠は長さが決まっている?)もちろん大きさに合わせてやる んですけど。それと穴の太さに合わせて締め込まないと。印籠の紐っつうのは擦れる でしょ? 蓋を何段も開けながらこう、紐をずらしてくんですね。ですから、この ずれ具合がスムーズじゃないと良くないわけですから、穴の太さ見て、綺麗に組むん です。(全部この台で?)いや、台は色々。うちで使ってんので、いま六種類ぐらい です。(これは帯留め用の台?)帯留め用っていうんじゃなくて、組み方の問題なん ですね。これは昔の烏帽子(えぼし)の紐で、まあ帯留めみたいですけどね。昔は帯 締めって無かったんですよ。着物が小袖っていう形で、今みたいな着物の形になった のは明治からですから。それまでは帯締めってのは要らなかったんですね。着物の幅 が広くなったんで帯で支える必要ができてきたんですね。 (工程はどれぐらい?)そうですね。何工程かね? やり方によってちょっと分か れますけど。基本的には、糸染めるのと、糸作りの工程があって、こういう風に組め る状態にするのを「ヘきる」って言うんですけどね、へきる工程があって、それから 組んで、仕上げる。大雑把に言えば、そんな具合です。糸を作るほうが組むのよりは ずっと難しい。糸をこう扱えるようになるのは大体十年ぐらいはかかる。組むのは、 早い人はすぐですけどね。 (帯留めの需要は?)年々減ってんじゃないすか。(和服と違う使い方ができるとい い?)そうですね。絹の紐っていうのはね、結んで使われるのが基本なんですよね。 ですから、その結ぶ機能が、絹の紐はすごく優れているんですよ。(解けない?)解 けない。簡単にさっと結んどいても、解けない。例えば化繊で結んじゃったら、ピュ ッてやればひょいと解けちゃいますしね。たとえば日本の昔の乗馬の用具、あれなん かでも物凄い組み紐が使われてたものね。で、かならず結ばれて使うんですね。で、 やっぱりこの絹じゃないと、うまく結べないんですね。外国のかたでも結んで使えば 、絹の良さっていうのはわかるんですけど、あんまり結ばないような使い方する場合 は絹の値打ちがないんだよね、やっぱりね。ただ綺麗なだけじゃないですから、絹を 使うってのは。(結び方も種類があった?)結び方はすごい種類でしょうね。昔の何 とか流の結びとか、特殊な結び方をして、解いちゃうと、他の人が結べなくなっちゃ うっていうね。結びを開けたかどうかわかっちゃうとか、そういうのもあったみたい 、うん。 によって得意、不得意っていうか、やってることが違うんですよ。この人はこういう 組み方、この人はこういう組み方。何でもできるっていう人は、大体いないんですよ ね。僕だって何もできないけど。まあそれでも、随分いろんな人に教わったんで、結 構いろんなこと覚えてるんですけどね。(こういう組み方を習おうと思ったらあの人 の所へ行くとか?)とかね。おなし(同じ)組み方でもね、それを十本作るようなや り方と、百本作るようなやり方と、一本作るようなやり方とかね。あと、すごくいい ものを作るやり方とか、ちょっと手を抜いて安くあげちゃおうとかね。おなし(同じ )ようなもの作るんでも色んなやり方があるんですよ。その職人によって、上物やる 人、安物やる人とかね、まあいろんな人がいる。うちは昔からやってるもんだから、 うちの仕事をやってた職人さんていうのは、すごくいっぱいいるんですよね。だから 、その仕事場に入れてもらって随分教えてもらったからね。なかなか仕事場入れない ですから、随分参考になりましたけどね。(今、職人は?)そうですね、三、四人い ます。(すべて手作り?)いや、機械でやる品物は、機械の所に注文出して、やりま す。(機械で作れる?)作れますよ。だから全部うちで作っているわけじゃなくて、 下職みたいなとこに注文出して作る場合もたくさんあるし。特に最近になってくると 、能面の紐とか特殊な紐がすごく多くなってきてるんですよ、刀の紐とかね。昔は専 業の職人ていうのが居たんですよ。能面の紐なら能面の紐とかね。それがみんな居な くなっちゃってきてるんで、まあいろんなものが来て、うちの工房ではそういう特殊 なものを優先してやるようにして、こういう帯締めとか、どこでもできるようなもの は、なるべく下職に仕事をまわしてやってんです。 日本でうちが一番種類があります。あんだけのもん常時置いてあるとこないんで。( 携帯電話の紐は最近?)助かります。(笑)結構このライン、男の人なんかでもね。 で、このネクタイは法隆寺だとか、正倉院に残ってる組み紐とおんなし(同じ)物で すね。(平たく組んだ?)そうですね、組み紐なんですよ、織物じゃなくてね。組み 紐ですから、結ぶってことに対しては物凄く優れてる、で強いんです。だから、グチ ャグチャにしてポケットに入れといても、絶対しわは付かない。(ダイヤ柄の名前は ?)唐(から)組みっていうんすよね。字は唐の国の唐で。こういう組み方の角(か く)帯があんですよ、今ね。これは衣冠束帯ってやつの束帯に使うんですね。だから 宮中の位の高い人が使う帯なんですね。 (女性が習いに行く組み紐教室はどう?)よくやってますね、うん。だけど結局、組 み紐って、糸を作って、染めて、糸が自由に作れないと本来、自由に作れないもんな んですよ。その工程が難しいものですから。だからうちでは糸を一定の規格にしちゃ って、素人でも扱えるような状態にして売ってるんです。(これは一本できるセット ?)そうそう。これですと、長さとか色はもちろんですけど、決められちゃってます から、なかなか自由にやるってわけにはいかないんですよね。だから組むだけですけ どね。(カラカラという音がいい!)うん、静かだと、けっこう音がして。デパート なんかでやると、うるさいから音がほとんど聞こえないんですね。 (おかみ)意外と年配の人が多いんです。ずーっと三十分でも黙って見て、お茶を飲 んで帰って、あらいいわねって、また来るんですよ。(笑)でもね、それでもやっぱ り嬉しいですよね。こういう色合いも、いま置いてあるとこって少ないですもんね。 いいわねってよく言われるんですよね、ええ。(おかみさんの布製品も売れる?)お かげさまで。うちのは素朴なんですよね。普通の会社でしたらデザイナーとかいらっ しゃいますけど、家族でああだこうだ言いながら作っていくもんですから素朴なんで 、それがいいっておっしゃってるかたが殆どですよね、ええ。だからこういう色の布 なんかも、手染めだからこう風合いが出てるんで、ええ。(おかみさんが染める?) ええ、私が染めてるんです。(組み紐の糸も染める?)わたしは糸は染めません、主 人が染めてます。色合いとかそういうのがね、奥が深いから。色っていうのはみんな 違うから。(限りない?)限りないです、ほんとにそうですよね、ええ。 |
|
Copyright 1999-2001 EDOCRAFT. Allrights reserved. mail@edocraft.com |