|
![]()
|
|
![]() |
●屋号と歴史(子)藤井袋物です。僕で三代目なんですけど。いま、父親がいます。一代目のおじいさんは本所でやってて、父親は戦後からずっと四十年近く三筋(みすじ)でやって、六年ぐらい前にこっち(小島)に移ってきてるんです。 ●何歳から? (子)だいたい二十ぐらいから、もう二十年以上です。小さいころから手伝ったり、見様見まねでやってますから、そういうの入れるともっと長いですね。 ●父 (子)まだ仕事やってます。(おいくつ?)(父)八十六。(いつから?)わたくしはねえ、大正二年、小学校卒業と同時ですよ。だから、それより上の中学とか、行ってないです。終業式が終わって、学校から道具箱をあてがわれてね、きょうから仕事だって。大変でしたよ。だから、もう十八、九(じゅうはっく)のときにもう一人前。ほとんど仕事こなすようになっちゃいました。三筋(みすじ)でやっていたころ、袋物屋は少なかったです。戦争でガタッと減っちゃっいましたからね。田舎へ疎開したりしてね、そして東京へ出てこない。煙草入れを作る職人っていうのは、だいたい少なかったですね。戦前でもね。 ●品物 (子)いま使わないですけど、おじいさんは巻き煙草入れるものをやったわけ。木型を使ってやる仕事なんですね。今でもうちで作れるんです。満州事変に出征した兵隊さんに記念品であげた恩賜の煙草入れで、おじいさんと父親が若いころ十三万箇とか、すごい数やったんですよ。その時に煙草入れ屋さんが十軒ぐらいあったんで、それをみんな協力しあって作って納めたんです。袋物でうちがやってるのが小物類ですよね。スーツケースとかになるとまた違う職業なんですけどね、鞄(かばん)、ハンドバッグ、さいふなどの小物類です。(携帯電話入れは新しい?)ええ、やっぱり木型使ってこしらえたものです。ほかに作っているのは合切袋(がっさいぶくろ)です。 ●材料(子)材料はなんでもやりますけど、主に牛皮(ぎゅうかわ)、あと鹿皮でやっています。鹿は保ち(もち)が牛皮よりぜんぜんいいんですよね。ただ欠点は、ちょっと水に弱いっていう。漆を載せるには表面のツルツルを取ります。これは皮屋さんの仕事です。染めちゃうとちょっと、鹿皮かなって、わかりにくくなっちゃう。(鹿皮は手に入りにくい?)そうでもないです。けっこう有りますね。ただし原産地は中国だと思います。日本の山にいる鹿は使えないそうです。柔らかすぎて、クタクタになっちゃってダメなんだそうです。 ●木型 (子)眼鏡ケースは木型使ってこしらえるんです。眼鏡ケースの内側の形に削った木型を押し込んで、叩いて型をつけ、鏝(こて)を当てて丸みを出すんです。昔からある煙草入れの作り方を応用したんです。(木型も自分で作る?)そうです。眼鏡のサイズに合わせて木型を厚くしたり、薄くしたりして。 ●注文 (子)イニシャルは注文で入れられるんです。刻印で。 ●職人の数 (子)この辺、少なくなっちゃいましたけど、職人さんに材料を出して、出来たもんを問屋さんに納めるっていう形式のメーカーはけっこうあります。 ●作業 (子)機械化のきかない部分がほとんど。作る場合はミシンぐらいですね。あとは裁断機で型で抜くぐらいで、ぜんぶ手作りです。ええ。(仕事の写真をいっしょに?)(父)いっしょに撮るっていうのはちょいとね、(狭いから)むずかしいね。 ●修業 (子)裁ち包丁の使いから入るんじゃないですかね。あとは、こば漉き(すき)といって、回転する刃のところに皮を通すと薄く削げるんです。そうすると折り曲げやすくなる。あとは、そんなに難しくないですけど、裏に布を張ったり。薄く削いだところを(裏)返して、ひだを入れるんですけどね。これはちょっと慣れないと難しいとこかな。(慣れるには?)こればっかりやれば一年ぐらい。(一番むずかしい作業は?)縫製かもしんないですね。結局、最終段階でミシンをかけるとこで、たとえば曲がっちゃったりすると、もうそれで終りになっちゃう。だから完成工程にいちばん近いとこで(ミシンを)かける縫製がいちばん神経使うんですね。最後でしくじっちゃえば、それでもうパーんなっちゃう。(もうしくじらない?)だんだん回数が減ってきます。 ●篭目(かごめ)模様 (子)昔、目篭を家の前に突っ立っておくと、鬼が来て篭の目を数えているうちに夜が明けちゃうんで魔よけだったんです。(ほかにも?)いろんな柄(がら)が、菖蒲の柄ですとか、縦の縞(しま)とかあります。(時代で売れ筋がちがう?)昔からみんなが知っている柄が出(売れ)ますねえ。 ●古いもの 最近でもけっこう古いものを見直してくれてるような感じですかね。だから、かえってこういう袋が最近人気が出てきたみたいな。お客さんがよく言うんですけど、若いうちはこんなもん欲しくなかったけど、年取ってくると欲しくなんだよなあ、なんて人がいますから。四十五歳ぐらいから先の人ですかね。 |
|
Copyright 1999-2001 EDOCRAFT. Allrights reserved. mail@edocraft.com
|