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(親方が作るほうきの呼び名は?)まあ一応江戸ぼうきってなってますけどね。(江 戸のほうきの形がある?)そうですね。江戸のこういう形やなんかね。それと少しづ つ形が違って来ましたけどね。(何種類ぐらい作る?)そう種類はだいたい大きなこ れ、座敷ぼうきだけですけどね。(座敷ぼうきが主?)そう、座敷ぼうきが主なんで す。座敷ぼうきしかやること無いから。他に能が無いから。(ぜんぶ手作り?)え え、みんなこれ手作りですけど。ほうきはやっぱり斜陽って言っちゃおかしいけど も、掃除機にみんな押されちゃってねえ。(座敷が無くなったから?)そうですね。 (畳を掃くのにやはりほうきが一番?)そうねえ、やっぱり昔からほうきが一番いい んじゃないですかねえ。簡単に掃けるし、ほうきだとほら、隅々が綺麗になるでし ょ? ねえ。そりゃ掃除機もいいんでしょうけども、まあ両方とも一長一短がある んですかねえ。 (いま作っているのは?)これ短いほうき。片手で掃くやつね。今どっちかって言う と短い方が出は多いんですよね、長いのよりかね。もう長いの二に対して短いの八ぐ らいの割合で、短い方が需要があるんですよ。(親方はお父さんの代から?)そうで すね親父の代から。(じゃ二代目?)ええ二代目ですね。(一人でやってる?)う ん、せがれもまあぼちぼちと。まだまだヒヨッコなんだけど。(今ほうきを手作りで 作ってるところは?)もう都内じゃ二軒ぐらいしかないんじゃないですか。東京二十 三区でねえ。一時は百五、六十軒あったんじゃんないですかねえ。 (ほうきの歴史は?)そうですねえ、物の本によると飛鳥時代からあるみたいです よ。もちろんその時分はこんな手の込んだんじゃなくて、ただ束ねた程度でしょうけ どねえ。でもけっこう歴史は古いって言うんですよね。まあそんな調べた訳じゃない んだけど。(こういうほうきは日本だけ?)だと思いますよ。(こういう編み方 で?)編み方はね。よくアメリカの西部劇かなんか出てくるほうき、あれ編んで無い で、ただクルクルって丸めてあるような感じでね。(棕櫚のほうきは仕入れたも の?)うん、棕櫚はね。これまたこれで作る人が全然違うんですよ。 (一日にどのぐらい作れる?)そうですねえ、いま歳になっちゃったけど、一日座っ てても十本ぐらいしかできないっすね。若い頃は結構やってたけど。それも準備しと いて、作りっぱなしでね。これ一から全部やってたんじゃ、やっぱり一日ならすと (平均すると)四本かそこらぐらいしかできないんじゃない。(いくつの時から作っ てる?)ちょうど二十歳の時からですね。(それまでもお父さんの手伝いを?)まあ ぼちぼちですね。それまでは疎開してて、百姓の手伝いやってたから。(疎開が終わ って戻ってから?)そうそう、出て来てからね。手伝うって言うか下準備ですよね。 見よう見真似で。こういった穂の分け方とかね。穂の選別ですよね。それが一番やっ ぱり肝心ですもんね。ほうきの善し悪し、やっぱり穂の見分け方で違ってくるし。 (満足のいくほうきが作れるようになるまでにはどのぐらいかかった?)なかなか満 足っていう訳には行かないけど、まあまあっていうのは、ある程度の年数があるんで すよね。(ほうきは作る? 編む?)うん、なんて言うんでしょう? べつに気に したこと無いけども、編むんでしょうね、やっぱり。編む方が正しいかねえ。(その 針の名前は?)これ? 閉じ針っていうんですよ。閉じるからね。(畳のとは違 う?)そうね、この針はねちょっと特殊で、町じゃ売って無いですよね。畳のじゃち ょっと細すぎちゃって駄目ですね。(注文で作る?)そう注文で作る。(問屋を通じ て売る?)前は普通の小売屋さん相手にしたんだけど、最近やっぱり出が悪いから、 デパートで実演販売みたいになっちゃいますけどね。もう小売屋さん相手にしたんじ ゃなかなか骨ですよ。 (若く見える!)よく言うんです。頭使わねえからだろう(笑)。(七十を超え た?)うんちょうどですね。(元気!)こういうことやってるから元気なんじゃない んですかね。(何ができなくなったら辞める?)やっぱり体が言うこと聞かなくなっ たらでしょうね。(力仕事?)けっこう力要りますねえ。あと四年、五年は大丈夫っ でしょ。その代わり数はできなくなってくけどね。まあ締まるとこは締めとけばね、 丈夫で長持ちするでしょう(笑)。(品物に親方が作った印は付く?)別に無いっ て、ただこのまんま出しちゃう。でも自分のほうきは分かる。(目も大丈夫?)い え、ただ感ですよ。どうかすると、これね針金いくつ巻いたか。四回巻いたとこもあ るし、五回巻いたとこもね。なるべくメガネ掛けないようにしてるんだけど。割合に 大雑把な仕事だからね、とり合えず。もっと細かい仕事だとやっぱりメガネ掛けない とね、収まんなくなっちゃうし。(ほうき作りに比べたらとサラリーマンはくだらな い仕事!)いや、俺からするとサラリーマンの方がいいと思うけど。 (絨緞にも使えるほうきは作りが違う?)そうそう、違う。ちょっと先切らないで、 なるべく穂先をまとめて先を揃えて作るわけね。切っちゃったよりかはつっかかりが いい。(何種類ぐらい作ってる?)結局、短いのは一種類でしょ。これはもう形変え よう無いからね。あと長いのが二種類ですね。あと新型ってのあるんだけど。(新し い型?)うんそうそう。(編み目が綺麗!)うん。(ぜんぶ習って覚えた?)そうそ うそう。(昔からある編み方?)そう昔からあるね。昔からったって、やっぱり明治 の終わりか、大正の初め頃これ考えたんでしょうね、こういう形。江戸時代はみんな 棕櫚ぼうきでしたからね。棕櫚のほうが長持ちするんです、これと比べると。それこ そ二十年、三十年近いんですね。だから折れないしね。ただ使いつけないと・・・ほ らちょっと腰が無いから。その代わり使いつけると、細かなほこりまできれいに取れ る。(普通のほうきは折れる?)やっぱり家具なんかがぶつかると自然に角が折れて くるのね。どんないい草使ってもね。(使い方の注意は?)なるべくなら真ん中掃い てればいいんだけど(笑)やっぱりそうもいかないもんね。どうしても掃除機で届か ないような箪笥の後ろとかさ、突っ込んで掃くからしょうがない。 (習い始めは難しかった?)やっぱりまとまんないですね。手の感覚がわからない し、要領もわかんないし、全然まとまんないです。(巻く糸もちゃんと留まってなき ゃいけない?)うんやっぱりある程度きつくねえ。だから子供の頃から、うちほうき 屋だったから、もう学校から帰ってくるとこれやらされてた。うちは三人居たでし ょ、兄弟。それで職人が二人か三人いたから。 |
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