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養殖を始めようという話がでています
一番いいのが、色と肌触りですね。それと軽さですね
田舎で学校行っててもたいして仕事無い
手仕事ですからヘマもやりますよ、あっはっは
形とかそういうのは、もう個人個人の感性ですね
最近個人のお客さんもいらっしゃいます
三百六十五日休み無し
着物を着るんで、簪(かんざし)なんか無いか?
正倉院の中にもあった
鼈甲職人を題材にた小説


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English Interview

●養殖を始めようという話がでています

(鼈甲の材料はある?)原材料のタイマイは八年前にワシントン条約で輸入禁止にな ったんで、それ以前に 仕入れた材料があります。それを使って仕事をしている感じ ですね。(いずれは無くなる?)このまま輸入が再開されないと無くなります。(原 産地は?)うちあたりで使うやつはほとんどキューバ産ですね。あとインドネシア、 パラオ諸島、アフリカ、その辺のがけっこう入って来まが、うちの場合はどっちかと いうとメガネが専門ですから、メガネは厚みが無いと駄目なんですよ。(日本で育て られない?)アオウミガメなどは小笠原の父島で古くから養殖やってますけどね。タ イマイも沖縄の竹島で養殖を始めようという話がでています。(アオウミガメも鼈甲 に使える?)いや、あれは無理です。アオウミガメの場合は、どんなに大きくっても 、甲羅が薄いんですよ。(亀は育つのに時間がかかる?)はい、学者にもよりますけ ど、七、八年って言われる方と、二十年くらいって言われる方がいらっしゃいます。 (気の長い話!)(笑)だからコスト的に合わないですよ。(鼈甲は今売れない?) 売れないですよ、今。(みんな鼈甲を知らない?)そのせいもありますけど、普段の 生活の中での必需品じゃないし、全体的に景気も良くないですからね。

●一番いいのが、色と肌触りですね。それと軽さですね

(鼈甲の良さは?)一番いいのが、色と肌触りですね。それと軽さですね。棚からメ ガネを一つ出して、触ってみてください、掛けてみてください。軽いですよ! 肌触 りもね! あっはっはっは。(鼈甲は水に強い?)それはないですね。水に漬けちゃ うと艶がさめちゃう、ええ。だから付けたままお風呂なんか入れないですよ。(化粧 品とか整髪料は?)ああ、やっぱりね、駄目、色が変わってきちゃう。また磨くとき れいになるんだけどね。(夏の汗も?)そうなんです。ちょうど耳のところとか、色 がどうしても汚くなる。(また磨けばきれいに?)また磨くとね。(使い方のコツは ?)肌に付くメガネや指輪は、使ったあとに布などで拭いとけばいいし、できれば年 に一回ぐらい磨きに出すときれに使えるんですよ。それと、壊れてもまた直すことが できるしね。こういう風にほら、ここを切っちゃって、この部分を取り替えて、つな ぎ直して。だから長持ちしますよ。

●田舎で学校行っててもたいして仕事無い

(これは?)これはこのあいだ息子が作ってね。昔の作り方で、金具使ってないんで す。ネジの代わりに鯨のひげを使ってるんです。本当は今日ね、息子がいれば良かっ たんですけどね。会津但馬の方へ行ってます。(親子2人で仕事を?)そうです。あ たしは一代(目)なんですけどね。(どこで修業?)最初はこのすぐ先の日暮里で、 そこに親方居たもんでね、そこへ弟子入りして。(きっかけは?)私は生まれは新潟 なんですよね、東京へ来たかったけどどっか無いか、って感じですよね。田舎で学校 行っててもたいして仕事無いしね、それだったら東京へ出て遊んで(笑)、遊ぶって こと無いけどね(笑)、とくべつ仕事仕事と思って来てたんでもないしね、えっへっ へっへ。(独立して何年目?)独立したのが四十一年ですからね、昭和。(もう三十 年?)そうですね。(バブルの終わる前の良い頃?)そうですね。だから独立した頃 、仕事忙しかったですよ。(修行年数は?)十年くらいですね。だから昭和三十二年 の十二月に入ったんですよ。(息子さんは何歳?)いまね、二十七になったのかな。 大学出てちょっと勤めて戻ってきたんで、四年くらいです。(サラリーマン嫌だって ?)いや、なんかね、やりたかったらしいんですね。だから、卒論は伝統工芸なんで すよ。ちょっと「やってみるかい? 食えないけど」って言ったらね、翌日会社辞め てきちゃった、えへへへ。だから「食えねえぞ」って言ったんだけどね、えへへへ。

●手仕事ですからヘマもやりますよ、あっはっは

(鼈甲はどういう形で来る?)うーんとね、こんな感じで来るんですよ、剥がしてあ ってね。(これで何匹分?)これで一匹です、ちょうど。だから、十三枚。(甲羅一 枚ずつ来る!)そうです。(一枚ずつ剥がれる?)そう一ずつつ瓦状になってるわけ ですよ。(場所によって使い方が違う?)違います。黄色いメガネありますよね、黄 色い櫛とか、そういうのはお腹のほうなんです。(使うのは背中だけかと思ってた! )いやお腹の方も、ええ、腹甲(はらこう)って言ってるんですけどね。(黄色はお 腹?)そうですね。(簡単に十三枚に分かれるもの?)いやそれはどうやって剥がす んか分かんないですけどね(笑)、こっちはやったことないんで。(希少価値で高い ?)そうですね。特にこの色は高いんですよ。(ヘマは許されない?)うーん、でも 結局ね、手仕事ですからヘマもやりますよ、あっはっは、これはもうしょうがないで すよ、ええ。これ金属と違って溶かすことができないでしょう? やり直しが効かな い。だからもう失敗したら、品物自体がだめになっちゃう。金なんかだとほら、メガ ネ作ると、溶かすこと出来るでしょう? で、また再生することができる。鼈甲の場 合はそれが駄目ですよね。(一つ一つ違うものが出来る?)そうですね。だから、同 じように使っても、色とかそういうのが違いますよ、一つずつがね。(人気があるの はどんな色?)赤い色ですね、そこにあるでしょう。われわれ赤トロ甲って言ってる んですけどね、そういう色が一番、いま人気ありますね。今うちの子供が作ってんの がね、そこにネクタイピンで市松模様があるでしょう? それを今ね、数やらしてん ですよ。やり方がね、ちょっと難しいんだけどね、一こまずつ合わせていくんです。 (嵌め込み?)いや違うんですよ。パズルじゃないけどね、組み合わせがあるんです よ、それ。貼っていくんですよ、一ずつつ、一こまずつ。(何で付ける?)水と熱だ けです。接着剤はいっさい使わないんです。(市松の中の模様はどこに入ってる?) あはははは、分かんないでしょう! (中の模様を抜いてほかに使う?)いえ、これ はね、つなぐんです。真っ直ぐなものを、レンズの型に合わせて、全部つないである んです。(模様合わせ?)ええ。(無駄になる部分はある?)まあ、どんなに小さく とも貼ったり、くっ付けたりしていきますんでね、その点では削りくずだけですね、 無駄んなんのは。(作り置きはできない?)そうでもないですよ、もうどんどん作り 置きとかできます。それほど鼈甲の場合は形が変わるってことはないですからね。

●形とかそういうのは、もう個人個人の感性ですね

(鼈甲の修行は何から?)まず自分らのときはね、こういった胡座(あぐら)かくと ころから。っていうのは、若い子は意外と、昔っからあんまり胡座かかないでしょう ? 長い時間。せいぜい食事のときかなんかくらいのもんでしょう? これを朝から 晩までね、こうやってるってのは結構辛いもんがありますよ。それがまず最初でしょ うね。(座る次は?)今度は細かい仕事ですね。使いっ走りやったりとか、磨きです ね。もう朝から晩まで磨きばーっかやってね。(形を作るのはその先?)まだまだで すね。鼈甲職人の場合は、生地作りって言って、固めること、さっき水と熱で作るっ て言ったでしょう? それの仕事が基本なんですよ。ですからもう五十パーセント以 上それに力入れてんですね。あと形とかそういうのは、もう個人個人の感性ですね、 これは教えたって出来るもんでないしね。物真似のうまいのが結構器用ですよね。人 の真似して結構作っていっちゃうような子がね。

●最近個人のお客さんもいらっしゃいます

(このメガネは?)色はトロ甲、型はウエリントンですね、男物。(メガネにサイズ がある?)あります。それはね、五十六だと思います。レンズの大きさのことです。 世界共通です。レンズの大きさ、手の長さ、鼻の間と、規格で決まってるんです。( 買いに来るときにレンズを持って来る?)いえ、レンズはまた別です。ですから、レ ンズ枠が出来上がってからメガネ屋でレンズを入れる。(メガネは個人のお客が多い ?)どちらかっていうと問屋さんが多いですね。でも最近個人のお客さんもいらっし ゃいます。ご自分でデザインを書いて、これで造ってほしいっていうお客さんもあり ますよ。

三百六十五日休み無し

(鼈甲製品の値段は使っている量?)いや、色です。基本的には明るい色が高いと思 っていただけばいいです。黒っぽいほど安い。材料の取引は、今だに一斤、二斤なん ですよ。(斤はどういう単位?)六百グラムが1斤なんですよ。匁(もんめ)で言う と百六十匁(め)ですよね。(原料は外国なのに単位は斤?)そうです(笑)。入っ て来るのはポンドとかでしょう?(笑)それを斤に直してね。(専門商社がある?) 前は輸入業者があったんですけど、ワシントン条約があって、今は買えないわけです よ。だから、仲間同志の取引はありますけどね、自分の使わないものを相手に売ると か、相手が使わないやつを自分が買うとか。(ワシントン条約は欧米人の価値観?) 結局アメリカのあれですよ。(腹立たしい?)まあね、自分たちがそうだと思えば、 鯨なんか今だに駄目でしょう? あれだってかなり増えてるっていうでしょう? で も、アメリカ人でもけっこう鼈甲製品好きで買う人もいますけどね。(じゃあ相当に 在庫を抱えてる?)そうですね。(今のペースで行けば何年分?)まあ今、景気悪い からそうそう売れないんで、材料をそう使わないで済むってのもありますから、けっ こうもつかもね。(メガネの需要は?)やっぱり良くないですよ。それと<知らない >ってのがあるんですよ。これが一番かもしんないですよ。全ての伝統工芸品に言え るかもしれないですけどね、こういう使い勝手のいい物があるっていうのを知らない 人が多いですよね。鼈甲以外の伝統工芸品でもそうですよね。(訪ねてきて買う人は ?)多いです。特にうちの場合は寺町でしょう。そんなんで、お墓参りのお客さん、 ま、それがほとんどですね。お盆とかお彼岸のときは特にです。この周りだけで七十 軒あんですから、お寺さんが。ここ通れないですよ、歩くのもやっとですよ、お彼岸 のときは。(お墓にチラシ置いたら?)(笑)[鼈甲! 修理」なんてね。(お盆休 みとれない?)だから、うちね、三百六十五日休み無し。この斜め前の長安寺ってお 寺さんに、七福神巡りがあるんですよ。そんなんで、もう元日からそういう人たちが お参りに通る。だから店開けとけばね・・(笑)。

●着物を着るんで、簪(かんざし)なんか無いか?

こんどの土曜日、テレビで谷中周辺を映します。うちも撮影は来ていましたのでね、 出るかもしれません。たまたまね、あそこで司会やってる人の奥さんがうちによく買 物に見える。実家が根岸なもんですから。この間もパーティーかなんかあってね、着 物を着るんで、簪(かんざし)なんか無いか? って。

●正倉院の中にもあった

(長崎は鼈甲屋が多い?)ええ、長崎は本場ですからね。長崎鼈甲、江戸鼈甲、大阪 鼈甲が三大産地なんですね。(長崎はまだ使う人が居る?)居ます。長崎の場合はメ ガネじゃなくて、ネックレスが多いんですよね。(長崎らしく洋風のものが?)ええ 、やっぱり歴史は古いですよ、長崎は。(鼈甲はいつ頃から日本にある?)これは古 いですよ、正倉院の中にもあったぐらいですからね。(メガネに使われるのは?)メ ガネはね、徳川家康のメガネは鼈甲だっていう説があるんですよ。天狗メガネってい うんですけどね。で、レンズはどうしたかというと、鏡師がね、レンズを作ってたよ うなんです。室町に今もあるメガネ屋さんが一番最初にメガネを作りだした。それが 金枠だったり、色んな物があって、そんときに鼈甲も使ってたらしいんです。東京の 場合は簪(かんざし)、頭髪類を作っていた職人が鼈甲職人になったというような系 統が多いらしいですね。[タイマイ亀図説」っていう本があるんですが、この中には 江戸時代の鼈甲細工の道具、製造工程などが書かれていて、現在われわれが使ってい る物とほとんど同じです。

●鼈甲職人を題材にた小説

山本周五郎の「升落し」って小説があるんですが、鼈甲職人を題材にした小説なんで すよ。一昨年(おととし)かな、舞台でやるので、うちに取材に見えたんですよ。内 容はね、当時贅沢品で鼈甲が禁止になる。そんな話なんです。(よく書かれてる?) ええ、職人が。




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